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飛行機の世界から学ぶ経営いろは考;第38講:『VOR (VHF Omnidirectional Range)』
第38講:『VOR (VHF Omnidirectional Range)』
前回、「滑走路指示標識(Runway Numbers)」のことを書きながら、「VOR (VHF
Omnidirectional Range)」のことに少し触れました。
海上では、船は何を基準に航行しているかといいますと確かに今ではGPSですが、ご承知
の方も多いでしょうが、古典的な灯台を利用しております。
船舶免許も飛行機の免許でも、免許取得ための試験にはGPSの問題は出題されません(^^;
半島や岬の先端にある灯台はくるくると光が回り、そのスピードや色、閃光度合いによっ
て、海図に表記されているどの灯台かが判ります。
私も、小型1級船舶免許を取得するのにずいぶんと勉強をしました。
2級でも少し勉強しますが、1級になりますと海から陸が見えないところを航行できるの
です。
2級は、陸地が見えている・・・すなわち灯台などが見えるところの沖合まで航行可能で
す。(2級は陸から5海里;約9kmまでしか離れて航行できません)
夜間に船から見えるいくつかの灯台(2つで十分ですが・・・)と見える角度によって、
現在航行している位置を三角法を使って計算し、今後どのような方向に航行すると目的と
するところに行けるか判断します。
船は、ゆっくり、ゆったり航行しており、そんなに早く進むものではありません。
また両手を操舵輪なるものから離して、三角定規や計算機を机の上で使っても問題は起き
ませんが、飛行機は手を離すことができませんし、机なんてありません(^^;
飛行機を停止させるなんて不可能です(^^;
またあっという間に、今いる場所から移動します。
空の上を航行していても、海上航路を補完する灯台と同じように、私は「電波灯台」など
と呼んでおりますが、飛行機のために、全世界のあちこちに「電波灯台」があります。
実は自分が操縦して目的地まで行ける技量を持ちますとNAVI(Navigation)といって、
飛行場から別の飛行場や、1時間以上のラウンド飛行ができるようになります。
でも相当に熟練しませんと・・・、地上の普通の地図と航空地図を持って、飛行機に乗り
込み操縦していましても、・・・どこを飛んでいるのやら分からなくなります(^^;
高速道路や鉄道や鉄塔・送電線が参考になるってお思いでしょうが、ほとんど普通の地図
は役に立ちません(^^;
「じゃぁ~、パイロットはどうして地図が必要なの?」って問われたら、
「電波灯台(VORやテレビ、ラジオ電波発信局)の位置と発信されている電波の周波数
が解ればかなりの確率で、その地図(航空地図;Sectional Chart)を使って、どこをどの
ように飛んでいるかを知ることができるのです!」と答えます。
パイロットは、航法システムの一つで地上にある私が勝手に言う「電波灯台」=「VOR
局(VOR Station)」やラジオ・テレビ局から電波の周波数が解れば、そこから自機までの
「方位(Radial)」が分かります。
複数の電波を拾うことで飛んでいる場所を計算し、地図上に位置をマーキングできる能力
が必要です。
これは訓練あるのみなのですが・・・。
地上にある「VOR局(VOR Station)」からは、全方向に電波信号が出ております。
各方向の電波信号は若干の違いがあります。
その信号を受信した飛行機にある「VOR受信機(VORReceiver):だいたい2台装置
されています)」は、航空機がVOR局より何度の方向(Radial)に居るかが分かる様にな
っています。
非常に便利で、信頼性の高い通信システムです。
1950年に航空法で各地および主要飛行場には設置することが定められてから、現在ま
で中心的な「航法施設(Navigational System:NAVAID)になっております。
自家用操縦士の最初の免許では、VORが使えなくてもいいことになっています。
それは「有視界飛行」のみしてもよい!という免許だからです。
下(地上・海岸線・島など)を見て、目的地に行ければOKなのです。
しかし、どの教官もVORを理解させます。
というのも、クロスカントリー(長距離飛行)が想像以上に楽になるからです!
日本のあのクソッタレ教官だけは違います。自分は、こちょこちょとVOR計器をいじく
りながら、
「ぜんぜん進路が違ってっだろう! なにやってんだぁ~!」
なんです(^^;
現在の「空路(Victor Airway):航空機の飛行経路のこと」をスムーズに航行することが
できますので、大小関係なくほとんどすべての飛行機(航空機)に装置されています。
パイロットは、「VOR局(VHF Omnidirectional Range Station)」を目で見ることができま
せん。
そのために、パイロットには飛行機に装置された「VOR受信機:VORReceiver」の
針の方向を見て、電波灯台(VOR局)の方向を方位で推定します。
船では視認します。
「VOR受信機:VORReceiver」が「VOR局(VHF Omnidirectional Range Station)」か
ら、なにを教えられるかといいますと・・・、
「あなたはねぇ~! 私の場所(VOR)からxxx度の方向に居ますよ!」
「私の場所(VOR)から、xxx度Radial(方位)上にあなたは居ますよ!」
ってくらいなのです(^^;
また、
「私(VOR)は、あなたの頭がどっちを向いているのかは知りませんから! また、
あなたがどの方向に向かっているのかも知りませんから!」
と素っ気ないのです。
「VOR受信機」は、自分の飛行機の機首がどちらに向いているのか? やVOR局から
の距離を表記する能力はありません!
VOR局から何度の方向に居るか? どの方位(Radial)に居るか?だけが判ります。
基本的に「VOR局(電波灯台)」からの方向「FROM」が中心です。
いま「FROM」と書きましたが、「VOR受信機:VORReceiver」には「TO」の
マークもあり、飛行機がVOR局に向かっているときは「TO」マークが、離れていると
きは「FROM」マークが「VOR受信機」のあるところに表示されます。
もう少し、詳細な説明をします。
「VOR局(VHF Omnidirectional Range Station)」は、磁石の北を000度として時計回り
に360度に電波信号を出しています。
そして方向(Radial)によって電波信号が少しづつ違うようになっています。
その信号の違いで飛行機の「VOR受信機:VORReceiver」で位置が分かるようになり
ます。
まず「VOR局(VHF Omnidirectional Range Station)」の起点となる北は「磁方位北:
Magnetic North」です。
飛行機は「Magnetic Compass」を使って飛行しますので、「磁方位:Magnetic(磁石の方位)」
使います。
「VOR局(VHF Omnidirectional Range Station)」は北から、理論上、約36万本の信号を
発信しております。
人間にはそこまで区別もできませんし、その必要もありませんから便宜上は、「VOR局
(VHF Omnidirectional Range Station)」から360本の電波信号が出てると考えても差し支
えありません!
「VOR局(VHF Omnidirectional Range Station)」から発信されている360本の電波信号
には、北からの角度・方向によって名前が付けられております。
まず北の000度は「000度ラディアル(000 Degrees Radial)」、そして時計回りに角度
を測って「XXX Degrees Radial」と名付けています。
飛行機に搭載装置されている「VOR受信機:VORReceiver」は、その名付けてある「ラ
ディアル(Degrees Radial)」を受信している訳です。
飛行機が、電波信号(VOR局)からの信号を読み取って、270度Radial上に居ると
分かった場合は、航空チャート(Sectinal Chart)に「VOR局(VHF Omnidirectional Range
Station)」から、左やや上の270度延長線上との交差点に航空機が居ると言うことが判
ります。
また別のVOR局からの電波信号を読み取って、そのVOR局からの方位の延長線と上述
の例で引いた延長線上に飛行機が居ることが判ります。
これは船舶の航行の時に、見える2つの灯台の、海図上の位置から見えている方角の180度
真逆の延長線交差点に船が居ることを知る方法と同じです!
でも、これを飛行機の中で操縦しながら航空地図(Sectional Chart)を広げて作図しなが
ら位置決めするのは至難の業です。
理屈で判っても、実技は危険極まりないことです。
ですから私は、1つのVOR局に直線的に向かうことをします。
「VOR受信機:VORReceiver」のVOR周波数を合わせ、VOR表示計器にある
「OBS(Course Selector)」というツマミをクルクルとゆっくり回してゆきますと針
(CDI;Course Deviation Indicator:コース偏位指示器)がド真ん中に来ます。
そのとき、マーカーが「TO」になっておれば、外側にある方位のまっすぐ上の数値の
方向に飛んで行けば、そのVOR局へピッタンコカンカンになるよう飛ぶのです!(^0^)
飛んでいる間に、CDIが右、左にずれてきますとそのずれた方向に緩く旋回し、CDI
がまたド真ん中になれば、その方向に飛びます。
VOR局よりも向こうの遠い目標に飛ぶなら、VOR局を通り過ぎたらマーカーが「TO」
から「FROM」に変わります。
次のVOR局に目標を合わすか、そのまま今までのVOR局の延長線上を飛ぶか目標地点
の地図上の位置さえ間違っていなければいいのです!
本当は、もっと複雑な使い方をしますが・・・このビジネス・リーダーいろは考ではこれ
くらいにします。
さてビジネス・リーダーへの教訓です。
企業・組織では、一般的に「経営計画」「事業計画」を策定します・・・ね!?
「経営計画」「事業計画」は、「経営の羅針盤」と言われています。
「経営の羅針盤」を持ったなら、その「羅針盤」の示す方向に正しく進んで行為項目を
やり熟してゆくべきなのです。
でも・・・、「経営は、変化適応業」とも言います。
これも「経営計画」「事業計画」を策定した時点での経営環境が、少しでも時間(日数)
が過ぎますと変化するわけです。
これを「想定外」って言っちゃダメなのです!
以前も、「マネジメント」の定義をしました。
”「マネジメント」とは、数値と状態との目標を期限までに達成すること”
でしたね!?
飛行機の世界でも、フライト・プラン(飛行計画書)なるものを航空局に提出して、出発
します。
途中で風の影響を上下左右から受けますから、飛行機も予定通りに目的地に到着する訳で
はありません。
しかし航空法では、フライト・プランによる目的地(ディスティネーション)到着予定時
間を20分以上経過しても連絡が無かったら遭難扱いとするのです!
ですからパイロットは、途中でどこを飛んでおり、このまま行くと予定通りの時間に、
目的地に着かないなら、飛行機の中で新しい到着時間を計算し直して、連絡を航空局(普
通は飛行場係員)に入れなければなりません。
ビジネスの世界でも本来は同様のことをしなければなりません。
これを「コントロール」と言います。
途中・途中にチェックポイントを設定し、その時点までに経過目標の数値・状態になって
いるのかどうかを分析しなければなりません!
もし予定通りや、予定以上に進んでいればOKですが、そうでなければ・・・それは、
いままでのやり方が間違っていると素直に認めなければなりません!
じゃぁ~どうするか?
軌道修正のために、今までのやり方を変更するのです!
やり方を変更するのを「決断」するのは、ビジネス・リーダーあなたの最大の責務なのです!
「決断」っていう字も大事な概念を持っています。
「断めることを決めること」だからです。そうです! 今までのやり方を「断めて」、
正しい、もしくは違ったやり方を行うのです!
今までのやり方を変更することを発表することは、組織上「命令」なのです!
今までのやり方を変更するということは、組織要員にとっては困ったことが起こるのです。
一つは、「今までのやり方がやりやすい!」という不満を言うのです。
次は、「そんなやり方、解らない!」っていう不安です。
だからビジネス・リーダーは、「コントロール」という定義をしっかり理解して、組織統
制をするべきなのです。
”「コントロール」とは、「命令」の追加と変更と、ならびに「教育訓練」の追加で
ある。”
ビジネス・リーダーは、「命令」の追加もしくは変更をしたなら、やり方の「教育訓練」
を追加しなければならないのです。
またひつこいですが・・・「教育・訓練」も定義します。
「教育」とは、「考え方」を変えることなのです! それも「組織の思想」に合うように!
「考え方」をプラスに変えることなのです!!
「訓練」とは、できる腕前づくりなのです!
できるようになるまで「妥協」は禁物です!
だからこそ、ビジネス・リーダーは精神的に強靱でなければなりません!
もう一発、ゴメン! 定義させて・・・(^0^)
「思想」というのを勘違いする人が最近多いのは、戦後の教育が悪いからなのです!
”「思想」というのは、「思考」+「想念」のこと”なのです。
万物の霊長人間は、「思考」する能力があります。
「思考」すればどうなるか・・・?
例を出しましょう!
「ここにレモンを一つ持ってきます。手に果物ナイフを・・・。そして、レモンをまな板
に乗せて、薄く薄くスライスし、その一枚を口に持ってゆきます。」
この文章どおりにイメージすることを「思考」って言います。
どうですか?
ほとんどすべての人の口の中に変化が起こったでしょう!?
起こらなかった人は、絶対にビジネス・リーダーになっちゃダメです!
「思考」は、肉体に変化をもたらすのです!
それほど「思考」というのはすごいパワーを持っているのです。
「正しい思考」をすれば、それも思いっきり真剣に「思考」すれば・・・「思考は現実化」
するのです!
企業・組織でのビジネス・リーダーの「思考」は、「世のため! 人のため!」に真剣に
考え、こうしよう!ああしよう!と考えるものでしょう!?
いてもたってもいられないでしょう!?
だから、今の心を誰かの心に伝えたくなるのです!
それを「想念」っていうのです。
だから「思想」というのは、組織、集団、国家をも動かすことができるものなのです!
もちろん「正しい思想」を持たねばなりませんよ!
ちと脱線しましたが、飛行機の世界では堕ちたら死ぬのですから・・・「正しい思想」を
持った者が飛行機を操縦しなければなりません!
その正しい「思想」のもとで策定された「羅針盤」に正しく沿った経営をやるなら、基本
的には最短経路で企業・組織がそのようになってゆくのです!
そのために飛行機では、電波灯台VORを目印に、船では灯台を、企業では「企業理念」
や「正しい経営をやっている先輩企業・組織の思想、組織運営」を「羅針盤」にするのです!
だから、「先人先達」の遺した数多くの「言葉」に触れる機会を多く持つこともビジネス
・リーダーの習慣にしなければなりません!
ありがとうございました。
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