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2024 / 09 / 30  08:46

飛行機の世界から学ぶ経営いろは考:第27講;『航空機用救命無線機、非常位置通報装置、緊急無線標識;ELT(Emergency Locator Transmitter)』

飛行機の世界から学ぶ経営いろは考:第27講;『航空機用救命無線機、非常位置通報装置、緊急無線標識;ELT(Emergency Locator Transmitter)』

第27講;『航空機用救命無線機、非常位置通報装置、緊急無線標識;ELT(Emergency Locator Transmitter)』

  

航空機が墜落、遭難したら、「とんだ災難」などと軽口を叩くわけにはいきません(^^;

まずは「死」が待っています。

山中や遠い海になんとか不時着できても・・・誰かが助けに来てくれなければ、助かりません。

最悪、やはりそこで命を落とすことだってあります。

山に住む熊に襲われたり、海ではフカに襲われたり・・・、凍え死んだり・・・(^^;

 

飛行機が操縦不能になっても、パイロットは余程の操縦不能状態を除いて、なんとかリカバーができるように基本動作をチェックリストに添って何度も訓練します。

もちろん自家用(プライベート)パイロットは試験に合格するまで必死ですが、その後は・・・航空安全講習会などで少し脅かしを受ける程度です。

事業用操縦士は、そうはゆきません!

あのハドソン川の奇跡で無事、乗員・乗客全員無事帰還を果たせたパイロットは英雄になりましたが、まさに「パイロットの鏡」だ思います。

宇宙飛行士になれる人は、もっともっと過激な訓練を積まないとなれません!

ですから正直、格が違います!

 

私は自家用操縦士ですから、事業用を持っているパイロット、エアーラインのパイロットを本当に心からリスペクト(尊敬)しております。ましてや、宇宙飛行士に至っては、まさに神様です(^o^)/

 

ところが操縦士免許を持ってもいないくて・・・、飛行機についてめっぽう詳しいヤツがいます。

飛行機の型式を一目見ただけでバッチし当てるとか、航空工学をそれなりに知識として理解している。 ・・・でも実技能力ゼロっていうのがいます。

自動車のマニアにも、これと同じ「頭でっかち」がいます。

 

こういうのに限って、私のように薄学で、このブログを執筆し、読んでいただきたい対象者がまったく飛行機の世界に関係ない方々向けであることを理解できず、「重箱の隅を突い」て、難癖擬きの「質問」やら執筆の「問題点を指摘」をします。

まぁ~ハッキリ言って、「礼儀知らず」です。

彼のプロフィールを見ますと、まずご本人の写真がない!

素性もハッキリしない・・・。

フィードの内容をいくつか読ませてもらうと、やはり批判、指摘ばかり、評論家的書き方が多いですね!(^^;

おそらくクローズな世界では、それなりの友達もいるのでしょうが多くはないだろうと想像できます。

 

私が、ビジネス・リーダーの皆さんに毎度、申し上げていることは「礼節」を知ること、「躾」のできていることが最重要であると・・・。

 

ですから少々、知識を持ったからと言って、実践経験もしないでとやかく知ったかぶりする輩は、ビジネスの世界でも「中途半端に頭がいい」のですが、いざ何かをやらせたら・・・なぁ~んもできないのです!

このような類いの人間をビジネスの世界では採用しない方がいい!

特に発展途上にある中小企業には不向きです!

 

さて飛行機が遭難したら、どうして見つけてもらうのか?

実は、総ての飛行機に墜落・遭難したときに、電波を自動的に発射して遭難場所を通報するための無線設備の装備が航空法で決められています。

 

飛行機に大きな衝撃があった場合(一部の機器では水没した状態になった時にも)に、自動的に、「航空機用救命無線機、非常位置通報装置、緊急無線標識;ELT(Emergency Locator Transmitter)」から信号を発信します。

もう面倒なので「ELT」と表記しますね!

 

私が訓練を受けたり、常用しているセスナ172Pや152、182などの一般的な単発飛行機には通常、後部の壁の裏側に装備されています。

無線機のアンテナは、後窓の直ぐ近くに30cmくらいの黒くて細いアンテナが垂直に伸びています。

 

ELT本体はオレンジの箱です。分解をしたことがないので不確かなのですが、中に大きな衝撃でスイッチが入る仕組みが組み込まれています。

 

飛行機が非常事態(墜落、衝撃のある着地、水没)に陥りますと、航空緊急用周波数の121.5MHzと243.0MHz(新しいデジタル装備では406MHz)の周波数を使って救難信号を発信します。

その信号は捜索救助衛星で受信されます。そして、その情報が地上の施設に通報されます。

信号とは言いましても、凄く変な音・音声信号です。雑音にしか聞こえません!

デジタルの場合は、その音の中に色々な情報が含まれてます。

通報後は、その信号を頼りに遭難機の探索が行われます。 

またATC(航空通信システム)や多くの航空機自体も、その信号を受信する事ができますので、衛星よりも先に通報が行われる場合があります。

 

現在、406MHzを使う次世代のシステムに変更されつつあります。 

特に米国ではデジタル化が進められ、精度が日々向上しております。

121.5MHzと243.0MHzはアナログ式です。

エアーラインや一部の航空機では、既に406MHzELT装備も義務付けれられています。

以前は、2010年までには、人工衛星による121.5MHzと243.0MHzでの受信が終了する予定だと聞いていたのですが、現在もELTがそれなりに高価なものです

から、そのままです。 

ただアナログ式は、統計的に97%が誤作動による発信だそうで・・・ちと当てにすることができません(^^;

時期は別としても、いずれデジタル化は避けられないと確信します。

デジタル式になると、もっと詳しい信号が発信され、遭難した機体番号などの情報も発信されるそうです。

 

飛行訓練のどこかでELTの誤作動確認の練習を一度だけします。

着陸などで強い衝撃を受けた場合、事故を起さなくてもELTの電源が入ってしまう事があります。

ELTの電源が入っていないか? 作動していないかどうか? 簡単に確認する方法があります。 

それは無線機受信状態を121.50MHzに合わせて、ELTの信号が出ていないか聞くだけです。

とにかく聞いた事が無い人でも、録音した誤動作しているELTの音を聞かせてもらうと直ぐに分ります!とにかく変な音が流れます。

訓練では、ちょっと強めの着陸をしてしまったり、乱気流の中を飛行してしまったり、負荷のかかる操縦をした時は、ELTを確認しなさいと教わります。

日本でのクソッタレ教官は、「そんなことムダだからやらん!」って、やってくれませんでした。

実は、ELTの発信音を録音していないだけなんですね(^^;

 

米国の訓練では、できれば毎回のフライトの終了後に、確認するよう教わりました。

 

また本当にELTの動作確認をすべき時もあります。

ELTも機械ですから故障します!

電源をオンにし、無線受信機で121.5Mhzを傍受すれば、独特で変な信号が出ますので比較的簡単に動作確認が出来ます。

しかし、あちこちでテストばかりしちゃいますと、どれが本当の救助信号か分らなくなりますので、米国FAA規則では、ELTの試験をしても良い時間帯が決まっています。 

日本のクソッタレ教官に聞いても教えてくれませんでした。

航空局に電話確認入れたり、法令別則などを調べるのも面倒なので、日本の時間帯は知りません!

米国FAAでは、毎時の00分から05分までとなっております。(first 5 minutes after the hour)

ELTのバッテリー(Battery)の交換時期も憶えておかなければなりません。

ELTは、飛行機の電気系とは別になっております。

通常の訓練機では、たとえばセスナですと米国製ですから米国FAA認定の電池(Battery)が使われています。

電池は、ご承知の様に自然放電などで劣化します。もちろん使ってしまうと充電量が減ります。

米国の航空法FARでは、ELTの電池の交換時期が指定されています。

 1. 使用時間が合計で1時間に達した時(in use for more than 1 cumulative hour)

 2. 寿命の半分に達した時(When 50 percent of their useful life expires)

  (充電が可能な電池、Rechargeableの場合は、充電が必要な時の事となります)

 

ちなみにGUAMの教官に聞いてみましたら、ELTのバッテリーを分解したことがあるそうで、一般にアメリカで販売されているアルカリの乾電池だそうです(^^;

Energizerというメーカーのモノだそうです。アメリカでは凄く一般的で、どこのスーパー、雑貨店でも売っております。

ところが・・・この単なる乾電池でも「FAA Approaved(認定)」ともなりますと値段が桁違いに高くなるなします(^^;

いずこも・・・おなじ!

 

 

さて、ビジネス・リーダーへの教訓です。

 

企業・組織では、やはり「アクシデント」は付きものです。

「想定外」とも言いますが、「報・連・相」(報告・連絡・相談)の徹底を社訓や社の心構えで唱和しても、本当に「アクシデント」が周知されているでしょうか?

 

特に関連部署の全員が、その「アクシデント」や多くの「問題点・課題」を共有理解し、周知を集めることによって早期解決、問題拡大を防ぐことができます。

 

たとえば、クレーム処理なども同様です!

一部のクレーム担当者が孤軍奮闘するようではいけません!

また同様のクレームやアクシデントが、今後二度と起こらないように「教訓」づくりをするべきです。

 

実は書き忘れましたが、飛行機の世界では飛行場から訓練で場周経路訓練する以外に訓練エリアに行ったり、ナビと行ってある地点まで飛んで帰って来る訓練や、ロングナビといって、行った先で着陸して昼食を摂ったり、宿泊したりすることもします。

場周経路訓練以外、日本では毎度、「フライト・プラン(航法計画書)」を関係機関に提出する義務があります。これを怠って飛びますと航空法違反になります。

米国は、特定な管制圏・情報圏を飛ぶ以外は義務ではなく、ちょっくら万が一の時には助けて欲しいと思ったら「フライト・プラン」を出します。

 

「フライト・プラン」というのは、何処からどこまで、どこを経由して飛びますと書いたり、飛行機に乗る人数、その所要見積もり時間も書きます。見積もり所要時間は、風速や飛行機の高度、速度から計算します。また、搭載燃料やその燃料でどのくらい飛ぶことができるか?

特に最終到着飛行場と万が一の場合の代替飛行場を明記し、最終着飛行場への到予定時刻まで記載します。

それで・・・、実は日本の場合、「フライト・プラン」を出しますと、実際に出発直前に(滑走路に向かう直前くらい)、指定された機関に電話で「この機番飛行機は、先ほど出したフライト・プラン通り出発します!(簡単にオープンします!)」を宣言します。

そこから、関係機関が監視を始めるのです。

そして、最終目的飛行場に記載した時刻を過ぎて20分経っても、到着した旨を知らせる「フライト・プラン」の終了宣言(フライトプランのクローズ)をしないと・・・、捜査活動に入るのです!

ですからパイロットは、出発前にきちんと出発宣言をし、到着したら無事到着の連絡をしなければ、自動的に捜索活動が始める規則ができているのです!

 

と同様の、あなたの企業・組織においても、そのようなある基準を満たさなかったり、逸脱行為があった場合、自動的に監査、捜査機関(組織)が仕組みができているでしょうか?

各人の割り当てられた仕事・作業の「開始宣言」、「終了宣言」が「報・連・相」の仕組みの中で活かされているでしょうか?

 

皆さんもよくご存じの「トヨタ看板システム」もELTの発想と同様に仕組みができています。

 

機械化のお話をしているのではありません!

組織というのは、あらゆる情報を

 「収集」⇒「取捨・選択」⇒「分析」⇒「判断」⇒「行動」

する「PDCAサイクル」ができることを普遍の目標にしなければなりません!

 

航空の世界(海運の世界も同様)では、「命」が主体でシステムを考えているな!ということが良く理解できます。

逆に、そのように思って訓練生は、理論や知識を吸収し、実践して行けばいいのではと後進にアドバイスをしたいのです。

 

ありがとうございました。

 

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2024 / 09 / 23  08:43

飛行機の世界から学ぶ経営いろは考:第26講:『Wake Turbulence (後方乱気流)』

飛行機の世界から学ぶ経営いろは考:第26講:『Wake Turbulence (後方乱気流)』

第26講:『Wake Turbulence (後方乱気流)』

 

茨城県の場外飛行場で飛行訓練やナビゲーションに出かけるときに「後方乱気流にご注意下さい!

;Caution wake Tubulance !!」なんて・・・注意勧告のATC(航空無線)を聴いたことがありません。

場外飛行場では、基本的に情報提供サービスとパイロットの情報発信(パイレップ;PiRep)があるだけですが・・・。

 

日本でも、福島空港、松本空港、新潟空港、名古屋空港、新神戸空港、高松空港、松山空港、佐賀空港などに離発着した経験がありますが、やはり聴いたことがありません!

 

日本の空港で唯一聴いたことがあるのは、Wide Band Receiver(広域無線受信機)を持って出張に行き、大阪空港のラウンジで暇に任せてATC(航空無線)を聴いていたとき、管制塔から次に離陸するYS-11の飛行機に対して注意勧告していたのだけです。

 

米国領GUAMのAgana国際飛行場は、大型ジェット旅客機、軽飛行機が入り乱れて離発着している空港です。

向こうのほとんどの空港は民間が運営しておりますので、商売上、なんでもかんでも離発着を受け入れます。

 

ご承知のように事故は自己責任の国ですから・・・。

ですからGUAMでの飛行訓練では、離発着の時、しょっちゅうと言っていいぐらい、管制塔(Tower)から、前機がジェット旅客機なら・・・必ず、「Caution wake Tubulance !!」と注意をされます。

この注意に対して復唱しないと

「おい野郎! 聞こえているのか!? ちゃんと応答せいや!」

と管制官から叱られます。

 

夜間離発着訓練をソロでやっていた時、緊張と離発着の多い時間帯に飛んだものですから、管制官がいろいろな飛行機に、矢継ぎ早に指令を送りますので、自分に向かって「注意しろよ!」って言われていることが聞き取れず、叱られたことがあります。

それでも緊張していて、着陸順番が回ってきた時、・・・どう返事していいのか分からないので「すんません!もう一度言ってくんちぇ・・・!?(^^; (Sorry! Say again , Pease!)」

を2回ほどやっちゃいましたら、

「もう一回やり直せ!(Go Aroud !)」って後回しにされました(^^;

 

飛行機の主翼の端から発生する乱気流のことを翼端渦流 (Wingtip Vortex)と言います。

特に離着陸中の航空機にとっては、かなり危険なのです!

特に重量の重たい大型機(Heavyと呼びます)から発生する乱気流はものすごく強く、それに軽飛行機が遭遇してしまいますと操縦不能になったりや空中分解してしまうほど危険性が大きくなります。 

その乱気流の威力は、飛行機の重さの2~4乗に比例して大きくなると私は理解しております。

(たぶん計算式では3乗だった気がするのですが・・・(^^; 忘れちゃったぁ(^^; 

 

ですから旅客機などが離発着する飛行場では、特に注意が必要なのです!

最近は、航空従事者の常識的知識とルールで事故の割合が激減しましたが、かつてジャンボ・ジェット花盛り時代を迎えた頃、あまりにも死亡事故が多かったそうです。

そのため、どの国でもかなり教育に力が注がれています。

 

私が教わったクソッタレ教官曰く

「我々は、そんな飛行場に行く機会はほとんどないからいいんだよ!」

確かに・・・(^^;

でも米国で空を満喫しようとしたら「FREEDOM」のお国柄、どの飛行場にも飛んでゆくことを前提に訓練をします。

ですから、この『Wake Turbulence (後方乱気流)』についてもシッカリ勉強をしなければなりません。

 

私はGUAMでの教官同乗訓練で、離陸前に管制塔からWake Turbulence (後方乱気流)」の注意を受けてから離陸をしました。

なんとなく心配でしたので、先に飛び立ったジェット旅客機の飛行跡を追いながら教官に「この辺で右旋回しても大丈夫でしょうかねぇ?」

って訊ねましたら・・・教官は「もう影響はないでしょう!?」

っていうものですから、ゆっくり旋回に入った途端・・・飛行機が本当に木の葉が舞うように大揺れしました(^^;

これには焦りました。

教官も「ウォ~(^^;!!!!」って悲鳴を上げましたねぇ(^^;

もう少しタイミングが悪かったら、間違いなく離陸直前ですからスピンして墜落でした。

落ち着いてから、教官が

「いやぁ~、ゴメン!ゴメン! やっぱりもう少し高度を取ってからでした。私としたことが申し 訳ない!」

と・・・。

 

日本のクソッタレ教官なら、

「こうなるんだよ! 良い経験したろう! これから二度と大型機の後を追うなよ!」

って言うでしょうねぇ~(^^;

 

日本でお奨めの「Wake Turbulence (後方乱気流)」を経験できる飛行場があります。

大阪国際空港の滑走路に近い所(Approach Endといいます)で飛行機の着陸を見に行ってみてください!

直ぐ頭の上を大型飛行機が通過しますと、もの凄い風か、突風が来ます!

まぁ~その中にいますと、「Wake Turbulence (後方乱気流)」の勢いかどれほどのものか体感できます。

このなぜ危険かを実感しますと、台風や昨今発生が増えている竜巻による突風がこれまたいかに危険か分かります。

 

話はそれますが・・・台風になりますと民放の報道アナウンサーが暴風雨をこれ見よがしに見せつけるためパフォーマンスで実況アナウンスをしますが・・・私は邪道だと確信します。

ましてや、かわいい女子アナがやっているのを見ると「これはイジメ!?」って思います!

 

さて「Wake Turbulence (後方乱気流)」がなぜ発生するのか? 少しだけ知ったかぶりです!

 

まず「翼端渦流(Wingtip Vortex)」というのを説明します。

 

飛行機の主翼では上面と下面の、気圧の違いによって上に引っ張る力、「揚力」を生み出しています。(ベルヌーイの定理によって証明)

 

ところが、主翼の端っこ(これをWingtip;翼端と呼びます)の近くでは、「揚力」を作ることがなかなかできません。

翼の先っちょでは空気が横から(Outward)、そして下から上(Upward)に移動(逃げて)してしますのです。

そうなのです! 翼端では空気が逃げるのです。

 

その空気が逃げる時、翼端から円を描くように空気が洗濯機の水のように廻りながら流れます。

特に翼の先は強くなります。 

 

また外に逃げる空気は、気圧の低い上に移動しますので円状(渦状)になります。

Outwardに逃げて、Upwardに移動するので、Vortex(渦)ができるのです!

 

この渦は円を描いて移動しますが、飛行機の方は前に向かって進んでいますから、後方に向かって渦巻きながら強い風を吹かせます。

私は、竜巻の逆現象のような渦巻き筋(見えないのですが!)と感じています。

 

この空気の渦が、円を描きながら後方にそのままある程度の時間残ってしまいます。 

これを「Wingtip Vortex(翼端渦流)」といいます。 

 

この「Wingtip Vortex(翼端渦流)」は、どの飛行機の翼にも発生しますが、重たい飛行機は「揚力」が大きいので、それに比例して「渦の力」=「Wingtip Vortex(翼端渦流)」も大きくなります。

 

「Wingtip Vortex(翼端渦流)」は、右の翼端では反時計回り、左の翼端では時計回りになります。

 

飛行機が通過した後方での「Wingtip Vortex(翼端渦流)」による乱気流が発生しますので、「後方乱気流(Wake Turbulence)」と呼んでいます。

でも「Wake」って、「目が覚める」「呼び起こす」っていうのになんで「後方」って訳すの?・・・だって、経験者は一瞬にして目が覚めるし、反省を呼び起こすモン!(^o^)/

 

この「Wingtip Vortex(翼端渦流)」による「後方乱気流(Wake Turbulence)」は、離陸直後から着陸するまで常に発生しています。

ですから、「揚力」が作られている間は常に発生しているのです。

 

この「Wingtip Vortex(翼端渦流)」の勢いがもっとも強くなるのは、

 ・Heavy & Slow & Cleanの状態の時だと教わりました。

 

ご想像のように、特に注意するべきなのは重たい状態なのです!

Heavy(超重量機)・・・といえば、エアバス380やボーイング747-400の後ろなのです。

重たい飛行機では、多くの「揚力」を作られなければなりません。その分、Vortex(乱気流)も大きくなるのです!

 

Slow(低速)状態の飛行機では、やはりより多くの「揚力」を作らないと落っこちてしまいます。

低速では空気の通過量が少ないため、それを補うために、Angle of Attack(上向き角度)を大きくします。

そうしますと翼の上下の気圧差が大きくなり、翼端から漏れる空気の量が増え、「Wingtip Vortex(翼端渦流)」が強く増えてしまうのです。

 

飛行機の揚力を補うために使うフラップ(Flap;補助翼)やギア(Gear;車輪)が展開されていない状態のことを「Cleanな状態」と言います。飛行機にとって空気抵抗が少ない状態ですからCleanと言います。

余談ですが、「Cleanな状態」の 反対語は「Dirtyな状態」と言います。

フラップ(Flap;補助翼)やギア(Gear;車輪)がDown(降りている)状態では、空気抵抗が大きい状態となります。

 

となりますと・・・凄く重たい大型機(超大型飛行機)で、燃料満載状態で、低速での上昇角度が最大な状態の飛行機が離陸するときは、最も危険であることが分かります。

 

「Wake Turbulence (後方乱気流)」は、ゆっくりと沈んで行きます。そして広がっていきます。

 

ですから大型機の後ろから着陸する場合は、その大型機が着陸した地点よりも前方に着陸する様、指導を受けます。

着陸時に管制官から「後方乱気流に注意せよ!」と言われたら・・・、前方にいる着陸機の着地点をよく見ておいて、その位置よりもっと向こう(前方)にタッチダウン(着陸)しなさいと理解しておけばいいのですね(^^)

接地する時に、大型機の場合にはタイヤと接地面に煙が見えますので、それが参考になります。

 

私が以前、GUAMの夜間ソロフライトで焦ってしまったことを先ほど書きましたよね!?

あの時、おそらく、この「Wake Turbulence (後方乱気流)」の理屈を十分に理解しておりませんでした。

ですから焦って着陸していたら、管制官から「Go Aroud(着陸復航)」の指示を無視して着陸していたら・・・今時、こんなことを書いておりません(^^;

 

大きな飛行機が着陸した後、次に離陸する場合には、その飛行機が着地した地点より遠くで離陸を開始します。

 

大型機が離陸した後に離陸しようとする場合は、大型機が浮上(Airborne)した地点から後方乱気流が発生しますので その地点までに離着陸をします。

離陸する時は、技術が上がってきたら風上側にコースを変えるなどします。

離陸した後は、風上にちょっとコースを外して飛行しますとその辺にはもう、『Wake Turbulence (後方乱気流)』の残留がないので安全なのです。 

 

もちろん、大幅にコースをズラして飛行することはいけませんが、多少コースが外れても管制官は文句をいいません。GUAMでは、このような離陸を良くします。

 

GUAMでは管制官も親切でして、軽飛行機が離陸待ちに入ってから大型機が着陸、離陸した場合・・・だいたい3分ほど待たされます。もちろん、3分間の燃料代もバカにはなりませんが命より格段に安価です(^^)

 

危険を感じたら着陸を取りやめた方がいいのです!

数分間待つテクニックは「Make 360」と言って、場周経路(Traffic Pattern)のダウン・ウィンド(Down Wind)を起点に外側に360度旋回するのです。

飛行機は、大型機でも小型機でも正しい方法で旋回しますと一周360度旋回は2分ぴったりなんですよ!(^^)

この意思を管制官に伝えれば、印象も良くなり喜んで他の指示を出してくれます!

私の場合、Traffic Patternを一周回って来ます。

"Request to fly traffic pattern to avoid wake turblence ....."って格好良く言います(^^)

離陸の時なら、数分間待つことを宣言(リクエスト)します。

 

無風の場合の「Wake Turbulence」と、緩い横風の時の「Wake Turbulence (Wingtip Vortex)」を比較しますと緩い横風の時の方が「Wake Turbulence」滑走路に残ります。

詳しく書きますと・・・飽きちゃうでしょうからコレまでとします!

長々と知ったかぶりして・・・ごめんなさい(^^;

 

さてさてビジネス・リーダーのための教訓です!

今回は「Wake Turbulence (後方乱気流)」の飛行機での理屈を勉強しました。

ビジネスの世界では、「大きなブームの後を追うな!」ということに尽きます!

 

まず、「ブーム」の語源なのですが、ブーム(boom)というのいうは、「ドーン」とか、「ブーン」「ボカーン」「バぁーン」などの擬音語なのです!

もちろん英語です。

 

その意味が転じて、「ドカーンと流行する」のを「ブーム」と日本人が造語したのです!

 

ですから、大きな「ブーム」というのは「ドカーン」と流行ったら「スコン」と消え去るようなものを「ブーム」と理解しましょう!

 

なぜ大きな「ブーム」が起こるかって・・・?

それは「参入障壁」が低く、「誰でも」「簡単」に乗じることができるのです。

「誰でも」「簡単」がミソなのです!

 

だから経営技術、技能はほとんど要らないのです!

大きいですが・・・、みんなが競争相手になって、第三者的に見れば「雑魚の喧嘩」になるのです(^^;

 

大きかったら、必ず、大きく凹むのです!

これも「ゼロサム理論」と同様です。

「儲ける人」-「損する人」=「ゼロ」

「勝つ人」-「負ける人」=「ゼロ」

 

大きな「ブーム」には、大きく飛躍するまでに「Wake Turbulence (後方乱気流)」が発生しております。

多くの人、中途半端な識者・コンサルタントにおだてられたり、煽られて、「そうかぁ~、そんじゃぁ・・・」で始めたら、もう「ブーム」は失速し始めていたり、その「ブーム」の混乱と大きな問題点発生に・・・「そんなはずじゃなかったぁ~」ってな具合の状況がだいたい発生するのです。

 

「赤信号・・・みんなで渡れば・・・」と同じで、その最後をついて行きますと、そこに猛スピードの車が突っ込んで来て、大怪我、それどころではなく命取りになるビジネスがゴロゴロしております。

 

「ブーム」に乗るとき、明確な「経営理念」や「経営方針」、他社、競争・競合との本当の差別化戦略、独自化方針がなく、かつ・・・人財育成計画もせずに始めたら・・・、自社が、自組織が混乱・内乱を起こすのです!

 

皆さんもご経験がおありでしょう!?

飛行機で移動中に、大きな乱気流かそれなりの乱気流に遭遇したことが・・・?

本当の乱気流は、そんなものではありません!

私は過去に2回、エアーラインの巡行飛行中に遭遇しました。

どちらも食事中でした。すべてのテーブルに置かれたモノ(トレー、食べ物、食器類)が天井にぶつかるのです。

それだけではなく、地震以上の大きな揺れ、振動があります。

 

セスナに乗っている時には、エアーポケットというものに入りましたら、本当にかなりストンと落ちます。

富士急ハイランドの「フリー・フォール」、ディズニーにある「センター・オブジ・アース」系は、せいぜい20m~30mくらい落ちるだけですよね?

飛行機なら200ft~300ft=50m~100mくらい落ちます。

また落ちたら、フワーンと真上に上がったりもします。

飛行機のスピンは、真っ逆さまで回転しながらです(^^;

 

まぁ~、とにかく「乱気流」に巻き込まれない経営環境においては、徹底した安定的飛行(安定的業績向上)を目指して下さい!

 

ありがとうございました。

 

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2024 / 09 / 16  08:30

飛行機の世界から学ぶ経営いろは考:第25講;『Carburetor Icing(気化器凍結)』

飛行機の世界から学ぶ経営いろは考:第25講;『Carburetor Icing(気化器凍結)』

第25講;『Carburetor Icing(気化器凍結)』

 

今日もまたまた、エンジンに関わるキャブレター(Carburetor)のお話です。

なんでこんなメカニックなことを書くかって・・・?

飛行機も企業・組織も、安易なことをやったり、チョコマカした理屈を知っているだけで操縦、運営をしようとすると危険だからなのです。

 

私は飛行機の免許を取得するのに航空身体検査で大臣判定となり、実技飛行訓練ができないということで、最初に飛行訓練を開始したのが中国広州陽江市合山にある民間飛行訓練所でした。

ここでの訓練は、基本的に飛行訓練時間のログを作る(稼ぐ)ことでした。

中国広州陽江市合山に着いて15日間、市内の5つ星ホテル(日本ではビジネスホテル並で、部屋が広いだけ・・・)に宿泊しながら、毎日、3時間からロングナビの時には合計で5時間は飛んでいました。

ここでの訓練用飛行機はなかなかいいものを使っていました。セスナ172Rという、キャブレター・コントロールがない自動キャブレター・ヒーティング・システムでした。

ですから中国での飛行訓練を終えて、日本のクソッタレ教官に教わるようになったら、

「ここはキャブ・ヒートだろう! 中国でなに習ってたんだぁ~!」

「ええっ!? 中国の飛行機には、キャブレター・コントロール・レバーがなかったんです(^^;」

「初心者に、あんな高級飛行機で練習させると命がなんぼあっても足んねぇんだぁ!」

「・・・・」

 

これは正しい言いぐさでした。

その時には、クソッって思いましたが、米国領GUAMでFAA免許取得のため訓練を開始しし始めて、数ヶ月に1回渡航したのですが、ある日、行ってみますと乗り慣れた飛行機の残骸が訓練学校ハンガーの片隅に置かれていました。

教官に原因を聞きましたら、米国本土で教官をしていた日本人が、この訓練校で教官をしたいと入社したそうです。彼の乗り慣れていたのが、やはりセスナ172Rであったのです。

この訓練校は、GUAMに遊びに来た観光客相手に遊覧飛行もします。(実はこっちの方が断然儲かるのです!)

 

その本土での教官経験者に観光フライトを命じたそうです。

飛び立って30分ほどの遊覧飛行を終えGUAM国際飛行場に戻って着たとき、セスナ172P型の飛行機ではエンジンのパワーダウンを開始する前に、本来ならキャブレター・ヒートをオンにしなければなりません。

しかし、彼の乗り慣れた飛行機には、キャブレター・コントロール・レバーがなく・・・そのまま着陸態勢に入った途端・・・エンジンがポスンと止まってしまい緊急着陸を試みたのです。

もちろん「Mayday Call」ですから・・・GUAM国際空港は、すべての飛行機の離発着停止宣言(^^;

軟着陸ができず、前部を大破するも・・・乗員・乗客が無事だったのが不幸中の幸い!

とはいうものの、そこから当飛行学校の飛行機の数が1機減ったために、訓練にも観光遊覧飛行にも支障が生じましたね!

 

このとき、日本のクソッタレ教官の言ったことが頭に浮かんだのは事実です!

さすがにクソッタレな教え方をするのですが、道理をよく知っていらっしゃる。

 

後で、幾人かのベテラン・パイロットや本で得たアクシデントの多くに、「キャブレター・アイシング(Carburetor Icing)」が原因になっていることを知りました。

 

そこで・・・、今日は、またチト長いのですが・・・、ご辛抱下さい!

もちろん最後の方にあるビジネス・リーダーの教訓へトラップしていただいてもOKです(^o^)/

 

「キャブレター(Carburetor)」というのは、エンジンに燃料と空気の混合気を作り送る装置です。

 

「キャブレター(Carburetor)」で発生する問題は、内部に氷が張り付いてエンジンの出力が低下したり止まったりすることなのです。

この様な状態を「キャブレター・アイシング(Carburetor IcingまたはCarburetor Ice)」 と言います。

 

「キャブレター(Carburetor)」の中では、燃料のガソリンが蒸発して液体から気体へと変化します。 

ほとんどの液体では、その蒸発が起こる時にご承知の様に気化熱を奪うのです。

 

子どもの頃、お風呂あがりに、お母さんやお父さんに「早く体拭かないと風邪引くよ!」って言われたでしょう!?

実は、カラダが濡れたたままでいますとどんどん体が冷えていきます。

その原因が気化熱ですね!? 気化熱とはいうには、液体の物質が気体になるときに周囲から吸収する熱のことなのです。液体が蒸発するためには熱が必要になります。その熱は液体が接しているモノから奪ってゆき蒸発してゆきます。

ですから体が濡れていますと、表面の水滴が体温を奪って蒸発しようとし寒くなるのです!

注射する前にアルコール綿で皮膚を消毒のためにふきますね!?

冷やっと涼しく感じるのはアルコールが蒸発し、その時に皮膚の熱を奪うからです。 

水でも冷たく感じるのは同じ原理です。 

ガソリンやアルコールは揮発性か高い(蒸発しやすい)ので、他の液体よりも気温が下がります。

 

「キャブレター(Carburetor)」内部は、燃料であるガソリンが気化して空気と混ざる所です! 

「キャブレター(Carburetor)」の内部でも、大量の熱エネルギーが回りから吸収されます。熱エネルギーが無くなると、回りの温度が急激に減少するわけです!

 

これが理由で、キャブレター内部では気温がかなり低下します。

空気が湿っていると、大気中の水蒸気がキャブレター内部に付着し、キャブレターが0度以下にもなることがあるので氷が漂着しやすくなります。

「キャブレター(Carburetor)」に氷が出来やすい温度は21℃(華氏70度)とされています。

湿度は80%以上になりますと最も出来やすい状態です。

場合によっては湿度が50%でも出来やすくなるそうです。

ですから南国の湿度が高いところでの飛行では、「キャブレター・アイシング(Carburetor Icing)」が起こる条件が多く存在します。

 

 

「キャブレター・アイシング(Carburetor Icing)」を防止する為に、「Carburetor Heat」と言うモノを使います。

「キャブレター(Carburetor)」に熱い空気を送り込む事で、「キャブレター・アイシング(Carburetor Icing)」を防ぎます。

「Anti-Icing(氷を出来るのを防ぐ事)」も含めて、「キャブレター・アイシング(Carburetor Icing)」になってしまった時にも、氷を溶かす(De-Icing: 出来たIceを取り除くこと)ができます。

しかし氷を溶かし(De-Icing)ますと、その氷が溶けてエンジンに大量の水が流れ込むこととなり、またそう簡単に氷を溶かす(De-Icing)ことができる保証もないので、常日頃から、「キャブレター・アイシング(Carburetor Icing)」を防止する為に、「Carburetor Heat」を使うものだと心得て置かねばなりません!

 

「Carburetor Heat」の熱源は、熱くなった排気ガスが通過する管の回りに空気を通過させ、暖めた空気を「キャブレター(Carburetor)」に送ります。 

この部分のことを「Shroud」と言います。 

その中には、管が通っておりエンジンから排気される熱風が通過し、その排気ガスの熱で内部の管が高温に温められます。そして、その回りをもっと大きな管が捲いてあります。

暖めたい空気を通過させますと熱い空気ができるわけです!

その熱っせられた空気をキャブレターに持って行きたいときに、コクピットの真ん中ほどにある「Charburetaor Heat」のノブを手前に引きます。

 

「Shroud」で暖められた空気は、室内のヒーターや曇り止めにも利用します。

以前にも書きましたが、セスナ172くらいの飛行機はエアコンがありません!

冬は、「Shroud」の空気を利用して暖房します。夏は、上空に登ってから外の空気を入れればクーラーになります。

ですが・・・、訓練生が常周経路(Traffic Pattern)を飛ぶくらいの高さですと暑くてクタクタになります(^^;

 

余談ですが、熱源である排気ガスはもちろん有毒ガスです。一酸化炭素などを含んでいます。万が一、排気ガスの臭いに気がついたなら、ヒーターなどは即時に使用中止し、窓を開けてなければなりません!

そして、直ちに着陸すべきですね!

 

「Carburetor Heat」からの熱風は「Air Filter」を通していません。

ですから、日本の訓練場でした茨城県大利根飛行場はホコリまみれの飛行場なので、クソッタレ教官からは、ファイナルに入ったら「Carburetor Heat」をオフにしろって怒鳴られました。でも、その理由を教えてくれないのです。

「チェックリストには、タッチダウン(滑走路に車輪が着いたら)したら、「Carburetor Heat」をオフにせよと書いてあるのですが・・・?」

って質問しますと、

「Pilot's Operating Handbooku CESSNA SKYHAWK 172(セスナ172取扱法)」をよく読め!」

って、バカにした言い方で教えてくれませんでした。

 

米国の教官から、手取足取り教わって、なるほどそれはFilter(フィルター)の目詰まりを起した時に予備の空気の入り口として使かわれるもので、やはり地上ではエンジンに良い影響、特に空気の汚れた飛行場では良くないことを知りました。

 

かなり長くなってしまいましたが、もうここまで来たら「山本リンダ」です!

 

熱せられた空気は「Icing」を予防する効果があります。

しかし熱い空気は、ご想像のように膨張していますので、空気密度が低いため、エンジンの出力が下がってしまうのです!

そのため離陸時など、エンジンを高出力で使おうとする時には、「Carburetor Heat」は使ってはならないのです!

ここでも、先だっての調布飛行場付近墜落炎上事故の飛行が、なぜイマイチ馬力がでなかったのか?という疑問の答えの一つに、「もしや・・・Carburetor Heatがホットだったのでは?」と私は考えの一つにしました。

 

冬の長時間飛行の場合、たまに「Carburetor Heat」を(ホット)オンにして、「Icing」が起きていないかを確認することがあります。

私には、その経験はないのですが、実技口述試験で試験官から時たま質問されることがあるそうなのです!

「もしIcingが起こっていたら、どうなりますか?」

普通なら、「Carburetor Heat」をホットにしますと、RPM(回転数)が落ちるのです。

その後にRPM(回転数)に増えるようだと、Icingが起こっていた可能性があるのだそうです。

このような時は、完全にIceが溶けるまで「Carburetor Heat」をオンにしておきます。

中途半端にOFF(コールド)にしますと、残っていた水が再度硬い氷に変わってしまい、溶けにくいIceに変わる可能性があるそうです。

 

 

さてさて長くなりましたが、ビジネス・リーダーへの教訓は、「Carburetor Icing」という現象が、比喩的に組織にも起こり得るのだということを知っていただきたいのです。

 

企業・組織は、イケイケ・ドンドンで急成長する時期があります。

その時期というのは、非常に危険な時期なのですが、残念ながら「有頂天」になっていたり、「猫の手も借りたい」状況のために、人の採用がおざなりとなります!

 

最も危険なのは、「企業・組織の思想、経営理念、方針」に添わない「人罪」を採用してしまうことです。

最悪は、競争・競合企業からスパイ擬きの人間が入社してきます。

 

人間は、また、調子の良いときには「不平・不満・愚痴」は言いません!

ところがひとたび有頂天から下り坂に入ったら、これが吹き出すのです!

そんなときに「不良分子」として居座っていた「人罪」がニョキニョキと組織を冷やし始めます。もしくは煽動を始めます。

 

何も採用での不手際だけで、このようなことが起こるのではありません!

入社早々に、企業・組織の理念、思想、社風を徹底的にたたき込まないかな起こることも多々あります。

 

なぜか!?

当たり前です!

人間は、みんな生まれも、育ちも違い、異なった価値観を持った人が組織の一員になります。ですから、いままで培ってきた組織の社風に当初馴染めない人もいるのです。

企業・組織の理念・思想が正しければ、徹底的にそれを熟知してもらい、自分の価値観にしてもらったとき、はじめて本当の組織員の一人となるのです。

 

「Carburetor Icing」というのは、混合燃料(混合気)を作るために、燃料を噴射させるときに気化熱が奪われ、氷ができる現象です。

 

企業・組織も経営資源(経営リソース、ケーパビリティ)を適切に経営エネルギーに効率よく変換することがビジネス・リーダーに求められるのです。

 

ところが、そのエネルギー変換の時に、思わぬ組織脆弱によって、組織のどこかに氷が不着する・・・それがいずれ多くの問題を引き起こすのです!

 

「Carburetor Icing」を防ぐために、最後の方で書きましたが、時々、「「Carburetor Hot」にして、氷を溶かさねばならないのです!

この方法の一つが、徹底したビジネス・リーダーと従業員のコミュニケーションなのです。

 

不振企業に出向いて経営診断や経営指導をしますが、すべてに共通するのが「冷たい雰囲気」です。まさに「Carburetor Icing」のような現象が起こっています。

ですから私の真っ先にすることは、「みんなと打ち解け、コミュニケーション」の取れる状況を作ります。

「定性的診断」をやっても悪いところだらけです(^^;

指導をしようとしても、「斜めに構えて」講義を聴いたり、下向いたままのが多いですね(^^;

 

ビジネス・リーダーのみなさん、御社の各部署別組織の「Carburetor Icing」を見つけて、「Carburetor Hot」をやって下さい!

 

ありがとうございました。

 

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2024 / 09 / 09  08:30

飛行機の世界から学ぶ経営いろは考:第24講:『エンジン燃焼の異常・正常(Abnormal and Normal Combustion in an Aircraft Engine)』

飛行機の世界から学ぶ経営いろは考:第24講:『エンジン燃焼の異常・正常(Abnormal and Normal Combustion in an Aircraft Engine)』

第24講:『エンジン燃焼の異常・正常(Abnormal and Normal Combustion in an Aircraft Engine)』

 

さてさて、ここんところかなり専門的な内容ばかりでごめんなさい!

前回につづき、エンジンについてのことを書かせていただきます。

長文、専門的・・・読み飛ばして下さい!

でも・・・パイロット資格って、こんなんことを知っておかなければ取れないのです(^^;

 

前述しましたが、エンジンの内部では圧縮された空気と燃料の混合気(Fuel&Air Mixture)がSpark Plug(点火プラグ)によって燃焼(Combustion)します。 

シリンダー内部の混合気がピストンで圧縮され、最高のタイミングでスパーク・プラグが火花を発して、混合気が規則正しく燃焼するわけです。

この規則正しい燃焼がピストン・エンジンの性能をフルに発揮します、と同時に、またエンジンの寿命も長くなることは自明です。

 

通常のエンジンでの燃焼サイクルについてお話します。

シリンダー内部の排気ガスが排出されますと、今度は新しい混合気(Fuel&Air Mixture)が入ってきます。

入りきったら、次はピストンが上に押し上げられて圧縮されます。

圧縮されますと、ジャスト・タイミングでSpark Plug(点火プラグ)に火花が散ります!

その火花が圧縮された混合気を「爆発燃焼、Burning または Combustion」させます。

この燃焼は、プラグの発火部分から規則正しく爆発燃焼が始まり、スムーズに、きれいに広がりながら燃え広がるのです!

このときピストン内が膨張し、ピストンを押し下げます。

これがエンジンの出力となるわけです!

 

ところが、エンジンに異常が生じますと「Detonation(デトネーション)」とか「Pre-Iginition(早期点火)」と言う危険な状態(異常燃焼)が発生します。

 

「Detonation」というのは、混合気がスパークなしに、勝手に自然発火し、爆発してしまう状態なのです。

英語では"Explosion"と言います。 

これはタイミングなどを無視した状態で起りますので、エンジンの出力がまず大きく低下します。そして最悪の場合は、エンジンを完璧なまでに破損させてしまいます。

 

タイミング悪く各気筒(シリンダー)が爆発膨張しますと「Knoking(ノッキング)」と言う状態になるのです!

「Detonation」を起しますとタイミングがバラバラの為、凄く大きな振動と出力の低下を感じるそうです。(私は経験がありません)

これも文章で書くには難がありますので、Youtubeでご覧下さい!

 https://www.youtube.com/watch?v=ZWKRw0HmBLE

 

通常の「Burning & Cumbustion」と違った燃料の爆発(Explosion:自然発火)を起こしてしまう場合を「Detonation」と言います。

 

「Detonation」が起こる時というのを、パイロットとして心得ておかねばならないことです!

 

まずエンジンが高温になり過ぎた時 (High Power and Slow Airpseed)に起こります!

シリンダー内部が高温になり過ぎますと発生しやすくなります。 

夏場の暑い時間帯の離陸は、高出力のエンジンが過熱することが考えられます。

先般の、軽飛行機の調布飛行場近辺墜落炎上事故の原因の一つとして調べられることでしょう!?

 

実はなんと、飛行機のほとんどが空冷式エンジンなのです!

ですから外からの空気の取り入れはスピードがあり、高高度を飛んでいれば、どんどん冷却効果が上がりますが、長い地上滑走を済ませて、いざ離陸っていう時はやはり危険です!

 

「Detonation」などが発生しなくても、エンジンの温度が高くなることを知っておくといいですよね!

 

 1)急上昇(Steep Climb)はエンジン温度が上がります!

  急上昇をするには、エンジン出力を大きくする必要があります。

  そこに上昇というのは速度が遅くなるで、エンジンの温度が上昇します。

  やはり、急上昇を無理し過ぎますと「Detonation」を起す可能性があります。

  私の持っているフライト・シミュレーターで何度もやりましたが・・・「Detonation」

  の前に「Power on Stoll」になっちまいます(^^;

 

 2)燃料比率が低すぎる場合(Excessively Lean Mixture)

  エンジンはやや多い目にガソリンを送り込んで、ちょっと燃え残ったガソリンが熱を

  逃がすということを前章で書きました。ですから、そのガソリンの余裕がありません

  とエンジンが高温になってしまします。

  またガソリンの量が少なすぎる(空気が多すぎる)と燃焼効率が悪くなり、「Detonation」  を起す場合があるそうです!

 

 3)等級以下の燃料の使用(Lower Fuel Grade than Specified)

  飛行機メーカーが推奨・指定した等級よりもグレードの低い燃料を使った時に

  やはり「Detonation」が起こりやすくなります。

  ガソリンの等級はオクタン価と言う数値で、「Detonation」に対する燃料の耐久性の

  数値なのです。 

  数字の大きい方が「Detonation」に対して耐性が強く、数字が小さいと「Detonation」

  が発生しやすくなります。

  矛盾しているようですが、等級が低い方が燃え易いのです!

  そのため火力が強いためエンジンを加熱してしまうのですね!?

  等級の高いガソリンの方が火力は落ちますが、圧縮に対して強くなります。 

  グレードの高いガソリンは爆発力は落ちるのですが、より高い圧縮率を得られますの

  で、結果的に高出力を得ることができます。

  グレードの低いガソリンは、現在の高圧縮エンジンには耐え切らずに、「Detonation」

  を起してします。

 

ですから「Preflightチェック」で必ず、燃料のGradeを確認することなのです。

以前にもお話しましたが、航空燃料には等級が分かる様に色付けがなされています。

必ず飛行前に燃料を点検しなければなりません。

 

日本のクソッタレ教官は、ガソリンを抜いて調べるのに「Fuel Sampler Cup」というのを使うのですが、タンクからサンプル用のガソリンを抜いてから「空にかざせ!」と教えました。

「どうだ! 何色している!」

「青です!」

「よぉ~っし! それでいい! まぁ~本当は緑なんだ! マニュアルで調べておけ!」

しかし、空の色が「青」なんだもん・・・、どうしても青く見えますよ(^^;

米国の教官は、優しく(Gently)に「なるべく機体の白い部分に当てて、透かすように観て下さい!」といいます。

なるほど・・・セスナ172で使うAV-GUS(Aviation-Gus)は、100LL(青)か100(緑)なのですが、米国の教官の言ったとおりやれば、ガソリンの色チェックだけでなく、水の混入、不純物混入もよく解ります。

日本のクソッタレ教官風なら、なかなか水や不純物含有を見つけるのは容易じゃない(^^;

これもケツで感じろというのかぁ・・・?

 

経験はなくても・・・「Detoanation」などの異常を感じたら、なにかすべき方法を知っておくべきですね!?

マニュアルや米国での教官はきちんと教えてくれました。

「可能な限り飛行機の機首を下げて速度を上げてください! この飛行機セスナ172Pは空冷式のエンジンなので、速度が速くなると冷却が進みます。また出力を少し下げましょう! エンジン自体が高温になることを避けることもできます!」

 

実機訓練の後、ハンガーにある教室に戻ったら、米国の教官は、これまた教則本を取り出して、

「High RPM (High Power,Manifold Pressure;アクセル全開で)で、Low Airspeed(低速飛行の状態で)、Steep Climb(急上昇)は危険と頭に入れてください! だから、この逆の事をすれば安全に飛行できますね!

夏場のShort Field(短い滑走路)からのVx離陸は厳重注意なんですよ!」

 

「Mixtureを必ずRichにすることはチェックリスト通りですが、とにかくFuel&Air Mixtureが薄すぎる(Lean)と、エンジンが高温になり「Detonation」が起こりやすくなりますから・・・。

なんども勉強しているように、MixtureをRichにする事によって、余分な燃料がエンジンの熱を排出してくれる事にもなりますから!」

 

「Carburetor Heatを引っ張る(On)にするとMixtureはRichになるのですが、熱い空気がエンジンに入り込みますので、やってはならないんですよ!」

 

「とっておきの方法は、Cowl(車のボンネット内)Flap(外気を直接入れる通気口)を離陸の際やTaxing中はOpen(開ける)ようにしましょう!

飛行中も、エンジン温度を見る余裕ができたら、エンジン温度が高い時はCowl FlapをOpenにして、少しでも多くの空気をエンジン周辺に循環させ、エンジンを冷却させましょう! 本当は、Engine Instrument(エンジン関係計器類)を見る癖をつけておくのも一人前になる条件です!」

 

「Detonation」と同じくらい危険なのが「Preignition」というシリンダー内部の一部が凄く熱くなり、スパーク・プラグが点火する前に、その部分から混合気の燃焼が始まることがあります。

「Detonation」と同様にシリンダー内で早く点火が起こり、爆発燃焼のタイミングがバラバラになってしまいます。

原因は、Carbon Deposit(燃えカス)が熱を持って、それが燃え発生してしまうそうです!

またシリンダー内やプラグの傷が原因の場合もあります。

「Pre-iginition」は、通常燃焼する直前に起こります。

 

この2つ「Detonation」と「Pre-iginition」の関係ですが・・・。

両方とも違う現象なのですが原因は同じ様なものです。 

また「Detonation」が「Pre-Ignition」を誘発したり、逆の事もあります。

実は、これらが同時に起こることもあります。

どちらも高温で発生し、出力の低下と振動を伴います。

また実際の飛行中に命を掛けてまで飛ぶべきではありません!

エンジンの異常振動を感じた時は、「Detoantion」「Pre-iginition」などを疑い、即座に出力を下げ、速度を上げて、MixtureをRichにして様子を見ることとマニュアルに書いてあります。

 

もちろん日本のクソッタレ教官からは、「Detoanation」の「De~」の言葉も発せられたことがありません。

 

米国で飛行訓練と飛行機の知識の再勉強を始めてから、私はみるみる興味が沸き上がり、知識を得ることで、飛行機の操縦が驚くほど上手になったことは事実です(^^)

 

さてビジネス・リーダーへの教訓は2つあります。

 

一つは、

 学んで足らざるを知り、教えて至らざるを知る

という言葉を何度もなんども反芻して、脚下照顧の材料にしましょう!

 

あらゆる仕事、作業には、「目的」と「手段」が必ず存在します。

「目的」を完遂するための先人先達が当時の最高の知恵を絞って、考えついた「手段」には必ず、「論理的な理由」が存在します。

この「論理的な理由」こそが、御社のマニュアルに記載されているかどうか!?

非常に重要なことなのです!

私は小売業界に席を置いているときから、米国のチェーンストアに存在するマニュアル類を読み漁ったことがあります。

パイロットになるにはなれましたが、米国で再度、米国のパイロット免許を取ろうと決意し勉強を始めましたら、それに必要なマニュアル、参考書、VTR、Youtubeなどがあふれていることに驚きました。

なるほど・・・、エアーライン・パイロットも含めて飛行機操縦士免許を有する人が日本には1万人足らずなのに・・・米国では、49万2千人にもいるのです!

飛行機の数でしたら、日本が1700機弱、米国は25万8千機もあるのです。

日本には約100の飛行場がありますが、米国には正式な飛行場が約2000、個人の飛行場も含めると5000は下りません!

上記の数字は2008年の古い数字ですが、比較として参考になりますね!?

 

米国では、これだけ大量のパイロットや整備士を養成し、飛行場関連施設の専門家を養成するためには、適切に教えることができるインストラクター、トレーナーも養成しなければなりません。

ここに「マニュアル」と「Off・JT」「OJT」のできるシステムを構築しなければならないのです!

 

企業が飛躍的に拡大成長し始めたときに、人財の育成がままならぬのは、組織にインストラクター、トレーナーがいないこと、教えるためのマニュアル・参考書がないことが圧倒的に多いですね!

あの日本のクソッタレ教官のような職人がいたのでは、どんなに優秀な逸材も伸びません!

 

二つ目は、

「異常」を感知するシステム(仕組み)と企業・組織の要員全員が、敏感に感じる、そして、その論理的理由の解ることがポイントどころですね!

 

企業・組織は、教育・訓練の連続出なければなりません! そして各人の持っている能力を見事なまでに開花・開発する仕組みがなければなりません!

 

私個人の教育・訓練、能力開発のあり方は、老子から教わったこの言葉に尽きます!

 人に魚をあげれば一日生かすことができる。

 人に魚の釣り方を教えれば一生、生かすことができる。

 

 

ありがとうございました。

 

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2024 / 09 / 02  08:30

飛行機の世界から学ぶ経営いろは考;第23講:『Ignition System(エンジン点火システム)』

飛行機の世界から学ぶ経営いろは考;第23講:『Ignition System(エンジン点火システム)』

第23講:『Ignition System(エンジン点火システム)』

 

飛行機に搭載されているレシュプロ・エンジンは、自動車のガソリン・エンジンとそんなに差はありません。

 

飛行機の「Ignition System(エンジン点火システム)」というのは、エンジンの点火システムのことです。

ガソリンの混合気をタイミングよく燃やすために電気的に火花を作るシステムのことです。

 

詳しく書こうなんて気持ちはサラサラありません。

エンジンの専門家、自動車や飛行機の整備士にこっぴどくイチャモンを付けられるのがオチですから、また、理解不十分でウソを書いているかも知れませんので・・・その辺は、最後に書き起こす重要なビジネス・リーダーへの「教訓」の方にウェイトを掛けてお読み頂ければ幸いです!

 

飛行機では昔ながらに、「ピストン・エンジン」のことを「レシプロ・エンジン(Reciprocating engine)」と呼びます。

 

飛行機や自動車のピストン・エンジンは、ガソリンと空気の混合気(Mixture)を圧縮させて、燃焼爆発させた時の力で動力を得ます。

エンジン内部では、圧縮されたガソリンの混合気をタイミング良く点火プラグ(Spark Plug)で火花を散し、強力な爆発膨張を起させます。 

その爆発膨張がピストンを力強く押すことによって馬力というのが生まれます。

 

『Ignition System(エンジン点火システム)』は、点火プラグに火花を散らす(発生)させるシステムのことです。 

これは電気を使ったシステムなのですが、飛行機の通常電気系統(ライトや無線用に使う)とは全く別の独立した系統で構成されます。

 

性能の良くなった自動車は回転数をうんと上げるため、「ダイレクト・イグニッション」というものに変わってきましたが、私たちの操縦する軽飛行機はいまでも機械式(ディストリビューター方式)の点火システムです。

ディストリビューター方式点火システムは、ひとつの点火コイルで発生させた点火信号を、カムシャフトと直結したロータリースイッチであるディストリビューターによって、エンジンの各気筒(シリンダー;Cylinder)にある点火プラグに点火信号(スパーク)を分配します。

機械的なディストリビューターは、その電気接点の磨耗や接触不良の発生を余儀なくされます。また接点間スパークが発生し電波ノイズが避けられず、またエンジンの高回転化に対応できないのですが、飛行機はそこまでエンジンの回転数を増やす必要もないので、いまだにディストリビューター方式が使われています。

 

もっと重要な理由があります!

電気系統に故障があってもエンジンに影響が無い様にするためなのです!

ですから、飛行中に電気系統が故障したりしてもエンジンは回るように設計されています。

もちろん電気系統が故障すると無線やライトなどが使えないのですが、エンジンさえ回っていれば・・・なんとか安全に航行および着陸することができます。

 

Ignition(エンジン点火)用の電気は、マグネトー(magneto)と呼ばれる磁石でできた装置で瞬時に高圧(約1万ボルト)の電気を作ります。

アリスの歌った「君の瞳は1万ボルト」って・・・恐ろしいですよ(^^;

マグネトー(magneto)は、永久磁石を使い高電圧の交流電気を発電します。

 

マグネトー(magneto)は、バッテリーなどの他のエネルギー源を必要としないので、コンパクトで自己充足性と信頼性の高い点火システムです。

そのため、現在でも飛行機用レシプロ・エンジンではマグネトー(magneto)による点火システムが広く用いられています。

 

軽飛行機のエンジンは、「Dual Ignition System(二重点火系統)」と言われて、通常2系統のマグネトー式点火装置と1シリンダー当たり2つの点火プラグを持っています。

 

飛行機は、やはりエンジンがポッスンと止まっては話になりません!

ですから、もちろんエンジンの性能を向上しながらも、故障に備えた冗長性確保のために、2つの点火プラグを燃焼室内(シリンダー)の2か所の異なった位置に配置しています。ですから、微妙なズレをもって2つの点火プラグが火花を散らすわけです!

そうすることによって、シリンダー内の混合気が完全燃焼させるように考えられており、かつ完全燃焼までの時間短縮も考えられています。

少し難しいのですが、大排気量のシリンダーの場合でも、火炎伝播の遅れによるノッキングを抑えられることもできるのです!(^o^)

 

2系統の点火装置を持つことはエンジンの燃焼効率を改善するだけでなく、オクタン価が低いガソリンでも利用できわけです!

大東亜戦争中の戦闘機用エンジンなどは、1気筒当たりの排気量が大きかったため、このようなことが発明されたのだと思うと・・・昔の人はやはり偉かったぁ~(^o^)

 

もちろん現在では、『Ignition System(エンジン点火システム)』そのものの性能が大幅に向上しましたので、こうしたエンジンは少数派となっております。

 

ここからは、パイロットの使う専門用語と専門知識になります。

 

『Ignition System(エンジン点火システム)』のことを話す時に、「Ground、もしくはGrounding」と言う言葉をパイロットはチェックリストで使い、そのチェックを離陸前に行います。

これはMagnetoで発生させられた電気をシリンダーにあるスパーク・プラグに送るのではなく、そのまま機体に流してしまう事を言います。

もちろん、そうしますとプラグが点火しませんからエンジンが停止してしまいます。

日本語では「アースさせる」と訳していいと思います。

 

また離陸前に、Magnetoを片方ずつ、GroundingさせてMagnetoとプラグの状態を確認することが出来ます。

ご承知の人も多いと思いますが、プラグにはスス(炭素のゴミ)が溜まることが合があります。飛行機ではこのことをFoulingと言いますが、そんな状態で飛行機を飛ばしますとエンジンの性能が格段に落ちたり、万が一はエンジン・ストップします!

それを機長は離陸前にキチンと確認してから飛ぶようにとチェックリストに書かれています。

 

あの調布飛行場近辺に墜落炎上した事故の飛行機は、もしや「Ground Check」しないで、飛び立ったのかも・・・と考えたこともあります。

 

私も、離陸前チェックで「Ground Check」をして、2回ほど点火プラグにススが溜まっていることを発見したことがあります。

これを取り去るのは簡単です!

まず混合気の比率を薄く(Lean)して、エンジンを全開(フルパワー)にします。 

そうしますと・・・高温と回転数増加によって、プラグに付着したススがだいたい吹き飛びます!

もちろん、これを何度かやってもおかしいなら、絶対に離陸してはなりません!

 

自動車の場合、エンジンをストップさせるのはイグニッション・スイッチですよね!?

飛行機は、少しでもエンジン内にガソリンを残さない様にするため、「Mixture Control」でガソリン供給を絶ってから停止します。

もちろん、Ignition Swithcでもエンジン停止は出来ますが、ガソリンが残りやすいため、飛行機はこの方法を取りません!

エンジンが止まっていても、何らかの理由でプロペラが回転する(回す人、何かの拍子でプロペラが回る)と、無人状態でもエンジンが始動してしまう場合があるのです!

かつてPreflightチェックの時に、何気にプロペラを回したため、急にエンジンが回転し大怪我をしたり、首がプロペラで切られた事故が発生したことがあるそうです。

訓練生の時に、このことを厳しく教わります。

 

 

さてビジネス・リーダーへの教訓です!

 

飛行機では、『Ignition System(エンジン点火システム)』は、2重構造になっていることお話しました。

なんども、何度もお話しますが、飛行機はエンジンが命のようなものです。

ですから、「念には念を入れて」・・・「万万が一にでも」・・・エンジン不調を起こさない「デゥアル・システム」「デゥープレックス・システム」が取られています!

 

企業・組織における「リスク・マネジメント」も同様なのです!

いずれ書かせていただきますが「ヒューマン・エラー」も含めて、飛行機では「雨天計画」「暴風雨計画」を折り込んだ「チェック・システム」が作られています。

 

飛行機の訓練生になったら、「なんで・・・こんなに多くのチェック項目を暗記しなけりゃならないの!?」って驚きます。

エアーラインの出発前点検の総てをご覧になったことがないと思いますが、機長と副操縦士でチェックリストをひとつひとつ指で押さえながら、「指差呼称」で各装置・各計器をチェックしています。

 

軽飛行機の操縦士の時から、このクセをとことんにつけさせます!

すごい米国の教官に出会ったことがあります。

彼は、飛行機に乗ってから降りるまで、特に巡行飛行に入ってからも5秒間隔くらいにチェック項目を声に出し、指差しておりました。

 

日本のクソッタレ教官は、

「ケツで感じて、耳でエンジンのご機嫌を知るのよ!」

なんて・・・抜かしやがる!(あれれ・・・お上品なボクとしたことが(^^; )

 

企業・組織においての細やかなチェックや動作点検は「躾」なのです。

実は、「最高にして、最良のシステムは"躾"」なのです!

 

なんでもかんでも・・・コンピューター・システムや機械でヒューマン・エラーを補完しようと安直に考えるビジネス・リーダーは失格です!

 

いいですね!

「躾」こそ、「安心感」=「安全・安心・感謝・感動」の基本なのです!

その上で、機械やコンピューターの技術を借りて、その上にも安全性を確保するシステムを考えるべきなのです!

 

その辺の、ヘナチョコSE(システム・エンジニア;私は"え・セ"って呼びます)が設計したシステムは、現場にもそぐわないし、バグだらけなのです!

なのに企業・組織が飛んでいるのは・・・紙飛行機レベルの企業だからなのです!

 

もっときちんとした企業・組織にするためにも、組織全体の「躾レベル」をとことん向上させることをビジネス・リーダーは真剣に考え、実践なさって下さい!

 

明日から、お盆休みです。

「お盆」は 正式には盂蘭盆会(うらぼんえ)と言います!

旧盆では7月13日から16日までの期間を言います。東北は新盆で8月13日から16日です。

この期間には、生前に過ごした家に、帰ってくるとされる祖霊(先祖の霊)や亡き近親者の霊を迎えて供養する行事がお盆です。

お盆の初日には「迎え火」を焚いてお出迎えします。

14・15両日には、お佛壇の前にお供え物で飾った精霊棚を設けご供養をします。

16日には、また浄土へお帰りになる道しるべとして「送り火」を焚いてお送りします。

福島県いわき市では、15日の夜に「送り火」を焚き、盆踊りが最高潮になります。

 

お盆休みの後に、またお目にかかれること楽しみにいたしております。

 

 

ありがとうございました。

 

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2024.10.16 Wednesday