飛行機の世界から学ぶ経営いろは考;第23講:『Ignition System(エンジン点火システム)』 - いわき経営コンサルタント事務所

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2024 / 09 / 02  08:30

飛行機の世界から学ぶ経営いろは考;第23講:『Ignition System(エンジン点火システム)』

飛行機の世界から学ぶ経営いろは考;第23講:『Ignition System(エンジン点火システム)』

第23講:『Ignition System(エンジン点火システム)』

 

飛行機に搭載されているレシュプロ・エンジンは、自動車のガソリン・エンジンとそんなに差はありません。

 

飛行機の「Ignition System(エンジン点火システム)」というのは、エンジンの点火システムのことです。

ガソリンの混合気をタイミングよく燃やすために電気的に火花を作るシステムのことです。

 

詳しく書こうなんて気持ちはサラサラありません。

エンジンの専門家、自動車や飛行機の整備士にこっぴどくイチャモンを付けられるのがオチですから、また、理解不十分でウソを書いているかも知れませんので・・・その辺は、最後に書き起こす重要なビジネス・リーダーへの「教訓」の方にウェイトを掛けてお読み頂ければ幸いです!

 

飛行機では昔ながらに、「ピストン・エンジン」のことを「レシプロ・エンジン(Reciprocating engine)」と呼びます。

 

飛行機や自動車のピストン・エンジンは、ガソリンと空気の混合気(Mixture)を圧縮させて、燃焼爆発させた時の力で動力を得ます。

エンジン内部では、圧縮されたガソリンの混合気をタイミング良く点火プラグ(Spark Plug)で火花を散し、強力な爆発膨張を起させます。 

その爆発膨張がピストンを力強く押すことによって馬力というのが生まれます。

 

『Ignition System(エンジン点火システム)』は、点火プラグに火花を散らす(発生)させるシステムのことです。 

これは電気を使ったシステムなのですが、飛行機の通常電気系統(ライトや無線用に使う)とは全く別の独立した系統で構成されます。

 

性能の良くなった自動車は回転数をうんと上げるため、「ダイレクト・イグニッション」というものに変わってきましたが、私たちの操縦する軽飛行機はいまでも機械式(ディストリビューター方式)の点火システムです。

ディストリビューター方式点火システムは、ひとつの点火コイルで発生させた点火信号を、カムシャフトと直結したロータリースイッチであるディストリビューターによって、エンジンの各気筒(シリンダー;Cylinder)にある点火プラグに点火信号(スパーク)を分配します。

機械的なディストリビューターは、その電気接点の磨耗や接触不良の発生を余儀なくされます。また接点間スパークが発生し電波ノイズが避けられず、またエンジンの高回転化に対応できないのですが、飛行機はそこまでエンジンの回転数を増やす必要もないので、いまだにディストリビューター方式が使われています。

 

もっと重要な理由があります!

電気系統に故障があってもエンジンに影響が無い様にするためなのです!

ですから、飛行中に電気系統が故障したりしてもエンジンは回るように設計されています。

もちろん電気系統が故障すると無線やライトなどが使えないのですが、エンジンさえ回っていれば・・・なんとか安全に航行および着陸することができます。

 

Ignition(エンジン点火)用の電気は、マグネトー(magneto)と呼ばれる磁石でできた装置で瞬時に高圧(約1万ボルト)の電気を作ります。

アリスの歌った「君の瞳は1万ボルト」って・・・恐ろしいですよ(^^;

マグネトー(magneto)は、永久磁石を使い高電圧の交流電気を発電します。

 

マグネトー(magneto)は、バッテリーなどの他のエネルギー源を必要としないので、コンパクトで自己充足性と信頼性の高い点火システムです。

そのため、現在でも飛行機用レシプロ・エンジンではマグネトー(magneto)による点火システムが広く用いられています。

 

軽飛行機のエンジンは、「Dual Ignition System(二重点火系統)」と言われて、通常2系統のマグネトー式点火装置と1シリンダー当たり2つの点火プラグを持っています。

 

飛行機は、やはりエンジンがポッスンと止まっては話になりません!

ですから、もちろんエンジンの性能を向上しながらも、故障に備えた冗長性確保のために、2つの点火プラグを燃焼室内(シリンダー)の2か所の異なった位置に配置しています。ですから、微妙なズレをもって2つの点火プラグが火花を散らすわけです!

そうすることによって、シリンダー内の混合気が完全燃焼させるように考えられており、かつ完全燃焼までの時間短縮も考えられています。

少し難しいのですが、大排気量のシリンダーの場合でも、火炎伝播の遅れによるノッキングを抑えられることもできるのです!(^o^)

 

2系統の点火装置を持つことはエンジンの燃焼効率を改善するだけでなく、オクタン価が低いガソリンでも利用できわけです!

大東亜戦争中の戦闘機用エンジンなどは、1気筒当たりの排気量が大きかったため、このようなことが発明されたのだと思うと・・・昔の人はやはり偉かったぁ~(^o^)

 

もちろん現在では、『Ignition System(エンジン点火システム)』そのものの性能が大幅に向上しましたので、こうしたエンジンは少数派となっております。

 

ここからは、パイロットの使う専門用語と専門知識になります。

 

『Ignition System(エンジン点火システム)』のことを話す時に、「Ground、もしくはGrounding」と言う言葉をパイロットはチェックリストで使い、そのチェックを離陸前に行います。

これはMagnetoで発生させられた電気をシリンダーにあるスパーク・プラグに送るのではなく、そのまま機体に流してしまう事を言います。

もちろん、そうしますとプラグが点火しませんからエンジンが停止してしまいます。

日本語では「アースさせる」と訳していいと思います。

 

また離陸前に、Magnetoを片方ずつ、GroundingさせてMagnetoとプラグの状態を確認することが出来ます。

ご承知の人も多いと思いますが、プラグにはスス(炭素のゴミ)が溜まることが合があります。飛行機ではこのことをFoulingと言いますが、そんな状態で飛行機を飛ばしますとエンジンの性能が格段に落ちたり、万が一はエンジン・ストップします!

それを機長は離陸前にキチンと確認してから飛ぶようにとチェックリストに書かれています。

 

あの調布飛行場近辺に墜落炎上した事故の飛行機は、もしや「Ground Check」しないで、飛び立ったのかも・・・と考えたこともあります。

 

私も、離陸前チェックで「Ground Check」をして、2回ほど点火プラグにススが溜まっていることを発見したことがあります。

これを取り去るのは簡単です!

まず混合気の比率を薄く(Lean)して、エンジンを全開(フルパワー)にします。 

そうしますと・・・高温と回転数増加によって、プラグに付着したススがだいたい吹き飛びます!

もちろん、これを何度かやってもおかしいなら、絶対に離陸してはなりません!

 

自動車の場合、エンジンをストップさせるのはイグニッション・スイッチですよね!?

飛行機は、少しでもエンジン内にガソリンを残さない様にするため、「Mixture Control」でガソリン供給を絶ってから停止します。

もちろん、Ignition Swithcでもエンジン停止は出来ますが、ガソリンが残りやすいため、飛行機はこの方法を取りません!

エンジンが止まっていても、何らかの理由でプロペラが回転する(回す人、何かの拍子でプロペラが回る)と、無人状態でもエンジンが始動してしまう場合があるのです!

かつてPreflightチェックの時に、何気にプロペラを回したため、急にエンジンが回転し大怪我をしたり、首がプロペラで切られた事故が発生したことがあるそうです。

訓練生の時に、このことを厳しく教わります。

 

 

さてビジネス・リーダーへの教訓です!

 

飛行機では、『Ignition System(エンジン点火システム)』は、2重構造になっていることお話しました。

なんども、何度もお話しますが、飛行機はエンジンが命のようなものです。

ですから、「念には念を入れて」・・・「万万が一にでも」・・・エンジン不調を起こさない「デゥアル・システム」「デゥープレックス・システム」が取られています!

 

企業・組織における「リスク・マネジメント」も同様なのです!

いずれ書かせていただきますが「ヒューマン・エラー」も含めて、飛行機では「雨天計画」「暴風雨計画」を折り込んだ「チェック・システム」が作られています。

 

飛行機の訓練生になったら、「なんで・・・こんなに多くのチェック項目を暗記しなけりゃならないの!?」って驚きます。

エアーラインの出発前点検の総てをご覧になったことがないと思いますが、機長と副操縦士でチェックリストをひとつひとつ指で押さえながら、「指差呼称」で各装置・各計器をチェックしています。

 

軽飛行機の操縦士の時から、このクセをとことんにつけさせます!

すごい米国の教官に出会ったことがあります。

彼は、飛行機に乗ってから降りるまで、特に巡行飛行に入ってからも5秒間隔くらいにチェック項目を声に出し、指差しておりました。

 

日本のクソッタレ教官は、

「ケツで感じて、耳でエンジンのご機嫌を知るのよ!」

なんて・・・抜かしやがる!(あれれ・・・お上品なボクとしたことが(^^; )

 

企業・組織においての細やかなチェックや動作点検は「躾」なのです。

実は、「最高にして、最良のシステムは"躾"」なのです!

 

なんでもかんでも・・・コンピューター・システムや機械でヒューマン・エラーを補完しようと安直に考えるビジネス・リーダーは失格です!

 

いいですね!

「躾」こそ、「安心感」=「安全・安心・感謝・感動」の基本なのです!

その上で、機械やコンピューターの技術を借りて、その上にも安全性を確保するシステムを考えるべきなのです!

 

その辺の、ヘナチョコSE(システム・エンジニア;私は"え・セ"って呼びます)が設計したシステムは、現場にもそぐわないし、バグだらけなのです!

なのに企業・組織が飛んでいるのは・・・紙飛行機レベルの企業だからなのです!

 

もっときちんとした企業・組織にするためにも、組織全体の「躾レベル」をとことん向上させることをビジネス・リーダーは真剣に考え、実践なさって下さい!

 

明日から、お盆休みです。

「お盆」は 正式には盂蘭盆会(うらぼんえ)と言います!

旧盆では7月13日から16日までの期間を言います。東北は新盆で8月13日から16日です。

この期間には、生前に過ごした家に、帰ってくるとされる祖霊(先祖の霊)や亡き近親者の霊を迎えて供養する行事がお盆です。

お盆の初日には「迎え火」を焚いてお出迎えします。

14・15両日には、お佛壇の前にお供え物で飾った精霊棚を設けご供養をします。

16日には、また浄土へお帰りになる道しるべとして「送り火」を焚いてお送りします。

福島県いわき市では、15日の夜に「送り火」を焚き、盆踊りが最高潮になります。

 

お盆休みの後に、またお目にかかれること楽しみにいたしております。

 

 

ありがとうございました。

 

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2024.09.19 Thursday