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飛行機の世界から学ぶ経営いろは考;第49講:『雷雨、雷雲(Thunderstorm)という現象』

第49講:『雷雨、雷雲(Thunderstorm)という現象』
今回は、前回書き切れなかった続きとさせていただきます!
「雷雨、雷雲(Thunderstorm)」は大気の対流によって発生します。
不安定(Unstable)な大気の代表例なんですね!
大気の熱が上昇することを上昇気流(Convective Current、もしくはConvection)と言います。
小さな規模の上昇気流(Convective Current)はあちこちで発生しております。
どでかい上昇気流(Convective Current)が「雷雨、雷雲(Thunderstorm)」です。
どのような現象なのか?
典型的な例ですが、昼間、太陽の直射日光で地面が熱せられ発生します。
地面付近に存在する湿った空気が、地面の熱で暖められ上昇して発生するわけです。
上空にある大気は地面の熱では温められることがありません!
そのため、暖められた上昇気流と上空の大気との温度差が大きくなり、大気がもの凄く
不安定になってしまいます。
温度差が大きければ大きいほど上昇(対流)も強くなり、「雷雨、雷雲(Thunderstorm)」
が発生しやすくなります。
地面の加熱だけが原因ではありません。
テレビの天気予報でよく気象予報士が「上空に冷たい寒気が入り込んで・・・」と言います。
このような状態でも同じ「雷雨、雷雲(Thunderstorm)」が発生する条件を作ります。
上に冷たい物が入り込むということは、下の方が暖かいという訳ですから、その境目に
対流が起こります。
多くの場合、前線付近で暖かい大気が冷たい空気の下に入り込んでも同じ事が起こりやす
くなります。
前線では初めから雲が多いので、「雷雨、雷雲(Thunderstorm)」が発生しても見えない事
があります。
この「見えない雷雨」のことを英語では「Embedded Thunderstorm」とも言います。
小型機では、あまりにの高価なので気象レーダーを登載していませんから、飛行前に天気
図を見て、前線付近に向かうようでしたら緊張するくらい???注意が必要です!!
有視界飛行(VFR:Visual Flight Rule)でも、この雲の下は気流の乱れが大きくて危険で
す。
強烈な「ウィンド・シアー(Wind-Shear)」が頻繁にあります。
旅客機でも、下降気流で離着陸時に地面に叩き付けられる時もあるぐらいですので、「雷
雨、雷雲(Thunderstorm)」が予報されている時は飛行を取り止めるか、数時間待つこと
が不可欠です!
私の経験では、1時間程我慢するだけでかなり状況が良くなることがありました。
「スコールライン雷雨:Squal Line Thunderstorm」というのが、もっとも危険な状態の「雷
雨、雷雲(Thunderstorm)」です!
前線性ではないのですが、複数の「雷雨、雷雲(Thunderstorm)」が並んでいる状態です。
これは最も威力が強くて、「雹、氷の塊(Hail)」「竜巻(Tornado)」「猛烈な乱気流」「強
烈な雨」などが混在します。
特に起こり易いところは、「寒冷前線」の前方です。
「雷雨、雷雲(Thunderstorm)」の時には、「ひょう(Hail)」が発生します!
「ひょう(Hail)」とは、「氷の塊」のことです。
雲の中で発生した雨の粒(液体)が上昇気流で上の方に持って行かれ、他からのモノと
合流しで大きくなった液体が途中で凍ってしまった状態です。
地表に向かって落ちて行きますが、途中で溶ければ単なる雨となります。
凍ったまんま、地面に到達しますと「ひょう(Hail)」と呼ばれます。
上空で「ひょう(Hail)」に遭遇しますと、機体に穴を開けたりする時があります!
だって石が飛び交う中に、飛行機が時速100~300キロで飛んでいると想像して下さ
い・・・(^^;
実はこれは知っていてお得情報です(^^♪
上昇気流がどんなに強烈であっても、大気の状態が物凄く不安定でも、「逆転層
(Temperauture Inversion)」が強くても、物凄く強い前線や低気圧があっても・・・、
実は大気に「湿気、水蒸気、水(Moisture)」がなければ雲はできません!
もちろん「雷雨、雷雲(Thunderstorm)」もできません!
雨は、もちろん絶対に降りません!
強烈な乱気流の可能性はありますが、大気に十分な「湿気、水蒸気、水(Moisture)」が
なければ雲やヒョウやアラレの現象は発生しません(^^♪
空気がカラカラに乾いている砂漠地帯や、私の知っているところでは、米国西海岸などで
は強烈な上昇気流があっても雲が出来ません!
日本だと、湿気が多くて夕立になりますね!?
とにかく、これは十分な湿気があるからなのです。
多くの気象現象は、この「湿気(Moisture)」の存在が必要なのです!
ですから「雷雨、雷雲(Thunderstorm)」発生の必要条件は、多くの湿気があることです!
「雷雨、雷雲(Thunderstorm)」が起こるための条件があります。
その条件は、始めに何らかの理由で大気が不安定になることです!
直射日光もあれば、大気の移動などが考えられます。
その不安定さが「雷雨、雷雲(Thunderstorm)」の元なる「上昇気流や対流(Updraft and
Convection)」を作り出します。
もう一つの条件として湿気が必要です。
湿気がなければ雲すら出来ません!
なんどもくどく書くようですが、大気がかなり不安定で、上昇気流があっても、湿気がな
ければ乱気流が起こるだけです!
「雷雨、雷雲(Thunderstorm)」発生に必要な条件は、
1)不安定な大気 ⇒ 上昇気流が発生しやすい状況 ⇒ 大量の空気と湿気を上に持ち
上げる
2)十分な湿気:無ければただの乱気流だけ・・・
3)「気温低減率(Lapse Rate)」が大きいこと!
高度に比例して大きい気温差が強いと上昇気流を生みます。
「雷雨、雷雲(Thunderstorm)」のライフスタイルは、3つのステージとして次の物が
あります。
1)「積雲ステージ(Cumulus Stage)」:出来始めの状態
2)「成熟期(Mature Stage)」:地面に雨が降り出す状態で最も危険
3)「放散ステージ(Dissioating Stage)」:終焉と言いますか、最後の形ですね!?
1)「積雲ステージ(Cumulus Stage)」:乱雲が生まれる状態とだんだんと発達状態です。
上昇気流ばかりで、雲がグーンと上に伸びていきます。
上空では気温が低いので、水滴がドンドンと溜まってきます。
最初は雲だけですが、途中から雨や雪の状態になります。
しかし雨ができても上昇気流が強いので下に降らず、上昇風によって上空へ押し上
げられます。
あの「入道雲(Towering Cumulus)」が代表的な雲ですね。
上昇気流の強さと雨や雪の重さのバランスが崩れるまで、上昇気流とこの「積雲ステ
ージ(Cumulus Stage)」は続きます。
2)「成熟期(Mature Stage)」:地面に雨が降ってくる状態です。
最も威力の強いステージなのです!
雨が降る段階ですから「Cumulo-nimbus(積乱雲)」と言います。
上昇気流によって、上へ上へと押し上げられた雨や雪は、気温の低下と共に大きくな
ります。
しかし上昇気流にも限界があります。
雨などの重さが上昇気流よる力よりも大きくなりますと、今度はその雨などが一気に
下に落っこちる訳です! 結果、地上に雨をもたらします。
その時、水滴(雨)には摩擦抵抗がありますから、周囲にある空気までも下に引き
ずり落とします。
そして、その下に行く力が「下降気流(Downdraft)」を発生させます。
「雷雨、雷雲(Thunderstorm)」の「成熟期(Mature Stage)」の中では、上昇気流と
下降気流がランダムに多発しますから、強い乱気流やウィンド・シアーが発生する
訳です!
それが余りにも強すぎますから、まともにその境目に遭遇しますと、どんな航空機(飛行機)
も、ほぼ間違いなく破壊されてしまう危険性があります。
また、この上昇気流と下降気流での境目では空気が強烈に擦れ合うので、大量の静電
気が発生します。
その静電気や地面と雲の電極の差などで「稲妻(Lightning)」が発生します。
この時に発生する音が「ゴロゴロ」と言う雷鳴です。英語では「Thunder」と言い
ます。
この「稲妻(Lightning)」が「雷雨、雷雲(Thunderstorm)」の最大の特徴です。
「雷雨、雷雲(Thunderstorm)」と言うには、この「稲妻(Lightning)」がなければ
なりません!
成長して重くなった「霰:あられ(Hail)」は下に落ちますが、軽い「氷晶(ice crystals)」
は上に持ち上げられます。
なんと「霰(Hail)」は負の電荷、「氷晶(ice crystals)」は正の電荷に帯電するのです!
雲の上層には正の電荷が蓄積され、下層には負の電荷が蓄積されますから・・・、
雷様は、基本的には上から下に落っこちます(^-^)
横に雷様が走るのは、落ちる「霰(Hail)」の外側にできつつある「氷晶(ice crystals)」
が水平線上に存在したときです。
「成熟期(Mature Stage)」は地面に雨が落ちてきて、下降気流と上昇気流が同時に
あり、威力が最大となり、乱気流が最も強く、非常に危険なのです!
上下の違いがあるのは「ハサミ」の原理と同じです!
「積雲ステージ(Cumulus Stage)」では上昇気流だけなのですが、「成熟期(Mature Stage)」
では、その上昇気流に下降気流も混ざり、乱気流の威力は「Cumulo-nimbus(積乱雲)」
の中でも最強となります!
「Cumulo-nimbus(積乱雲)」の雲の下ではウィンド・シアーがありますので、有視界
飛行(VFR)であっても絶対に危険です!
もちろん「積雲ステージ(Cumulus Stage)」でも「入道雲(Towering Cumulus)」が
ニョキニョキ段階でも強い上昇気流がありますから、乱気流は強いのですが、まだ
下降気流がないので、「成熟期(Mature Stage)」の「Cumulo-nimbus(積乱雲)」
よりかは、威力は若干弱いですが危険には変わりません!
「積雲ステージ(Cumulus Stage)」でも、たまに急激な下降気流が生まれたりします。
それが「マイクロ・バースト(Microburst)」と呼ばれる現象です。
非常にく限られた範囲で、強烈な下降気流が落ちてくる様な現象だそうです!
地面にぶつかりますと、猛烈な風が外側に向かって発生します。
その時に、飛行機が通過しますと急激な速度変化が発生し、旅客機でも墜落するそう
です!
3)「放散ステージ(Dissioating Stage)」:「下降気流(Downdraft)」が中心になります。
これは終わりに近づいている状態です。
どんなに強い「雷雨、雷雲(Thunderstorm)」でも、最後は威力がなくなります。
上昇気流がなくなってきますと当然のことながら威力が弱くなっていきます。
まだ一部では少しだけ上昇気流が残っていることもありますので、ゴロゴロ言う時が
あっても量は減っていきます。
今回のビジネス・リーダーへの教訓は、「会社の寿命(ライフ・サイクル)」ついて、
お話します。
「雷雨、雷雲(Thunderstorm)」のライフ・サイクルがあるんだということを理解しま
しょう!
会社・製品・サービスには、生けとし生けるモノ(人間や生きモノ)と同様に、その誕生
から衰退までの寿命があります。
これを「ライフ・サイクル」と呼びます。
一般的に、「導入期」 ⇒ 「成長期」 ⇒ 「成熟期」 ⇒ 「衰退期」があります。
昨今、このサイクルの期間がどんどん短くなってきています!
この事実を無視して、というより事実を認めたくなく目を背ける精神構造がビジネス・
リーダーにはあるということを自覚すべきです!
企業、製品、商品、サービスは、「必ず売れなくなる時期が来る!」という事実です!
「いや!そんなことはない! 我が社の製品・商品・サービスは業界一なんだから!」と
思いきや・・・「シャープ」はあっという間に沈没しましたよ!(^^;
そのことを自覚しないと後々、致命的な問題を引き起こすことになります!
現在、我が社は、我が社の製品・商品・サービスが、ライフ・サイクル上のどのステージ
にあるかを把握しておかねばならないのです!
我が社が成長・発展していくためには、今後、どのような手を打つべきかの「戦略」を
常に検討しておくべきなのです。
「経営計画」「事業計画」を策定したが、その通り企業を成長・発展させていくところも
あれば、残念ながら未達成に終わってしまうところもたくさんあります。
その違いは?
企業・組織、製品・商品・サービスのライフサイクル上の「成長ステージ」を無視した
計画を策定していまうことが最大の原因です!
「製品のライフ・サイクル」をご存じの方は多いと思います。
一般的に「4つの段階」に区分されています。
「導入期」 ⇒ 「成長期」 ⇒ 「成熟期」 ⇒ 「衰退期」
です。
それぞれの段階に、以下のような特徴があります。
1)導入期
製品を市場に投入し、販売量・販売金額が緩やかに伸び始める時期です。
売上を高めるには、まず市場での認知度を高める必要があります。
2)成長期
製品が、市場で受け入れられますと販売量・販売金額とも順調に伸びます。
その伸びは、驚くほどと言っていいでしょう!
「有頂天」になる直前時期ですね!?
この段階で、着実に「生き残る」ためには、「マーケットシェア」を「最大化」する
ことが必要不可欠なのです!
3)成熟期
販売量・販売金額が安定してきますが、伸びは鈍化します。
横ばい状態を辿る時期ですね!?
製品・商品の普及率はほぼ限界に達します。いわば「飽和状態」に達します。
「頂点」に達した思うべきです!
「頂点」が「有る」から「有頂天」なのです!
このまま手をこまねいていますと・・・「奈落の底に真っ逆さま」は必然なのです!
4)衰退期
販売量・金額とも需要が減退し、落ち込んでくる時期です。
状況に応じて、勇気を持って「撤退」を検討する必要が出てきます。
「引き際」が重要なのです!
以上のライフ・サイクル論は、一般的に誰もが知っているものです。
ここに
5)思い切った「事業転換期」
を加えるのです!
この「事業転換期」は、3)成熟期に決断することを強くお勧めします。
いわば「第2の創業」であったり、再度、足下を固める意味での「事業ビジョン」の策定
時期なのです!
この「事業転換期」に、再度、創業したころのことを思いだし、より深い次のステップを
踏んで対策を講じることを強くお勧めします!
1)「開墾」ステップ:市場調査や人員戦略が中心の時期です!
とにかく、市場調査を綿密に行い「需要」を掘り起こします。そのためにも、その
後のためにも組織人員の異動も含めた戦略を策定すべきです!
2)「種付」ステップ:営業や宣伝活動が中心の時期です!
とことん、営業に特化し、思い切ったプロモーション(広告宣伝)活動を人海戦術
で行うのです!
3)「開花ステップ」:営業や宣伝の効果が現れる時期です。
しっかりと「実を結ぶ」ために、肥やしをやり、水を切らさないことです!
4)「結実」ステップ:開花の結果は、とりもなおさず契約に結びつく時期です。
販売がいよいよ順調に進む時期です。
組織ムードも高めることです!
5)「収穫」ステップ:売上げが継続し、利益回収される時期です!
ここで散財は厳禁です! 「ダム経営」に徹するために、利益を次の再循環のために
利益蓄積すべき時期です!
6)「休息」ステップ:事業を休むことではありませんが、いままでステップの反省を
しっかり行うのです!そして、今後の指針を再度明確にすべき時期です!
企業・組織も農産物とまったく同様に、耕して、種を蒔き、四季に応じた手入れをシッカ
リすることによって、収穫期に豊かな実りをもたらしてくれるのです!
雑草が生えているのに、それらを抜かず、水をやり過ぎたり、肥料をやらなかったりすれ
ば、植物は収穫を迎える前に枯れてしまいますね!?
企業・組織にも、人生にも「四季」があります。
「冬」の次には、必ず「春」あります。「春」の後には「夏」が・・・。
「夏」の後には必ず「秋」が・・・。
これが「自然の理」なのです!
その四季折々に為すべきことをするのです。
決して、四季が逆転・スキップ現象を起こすことはありません!
ところで・・・「STAP細胞」はどうなったのかな?・・・関係ないか!?(^^♪
再度、ビジネス・リーダーの皆さんは、自社組織の「ステージ」を『脚下照顧』してみて
下さい!
ここで一旦、パイロット・ビジネスいろは考は書き止めします。
これからいよいよ新入社員が企業・組織に入社してきます。
ウィーク・デーにはしばらく毎日、「新社会人の皆さんへ! 人生いろは考」をアップ
することにいたします。
パイロット・ビジネスいろは考は、その後、まだまだ続けてゆきます。
休止中に、FAAのパイロット関連の書物の翻訳・解読・理解を深めておきます!
乞うご期待(^^♪
ありがとうございました。
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