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飛行機の世界から学ぶ経営いろは考;第34講:『飛行交通情報:Traffic Advisory;Transponder』
第34講:『飛行交通情報:Traffic Advisory;Transponder』
レーダーの基本的な原理は電波を放出し、その電波がある物体に反射し、帰って来たその
電波を受信して物体を識別します。
「飛行交通情報:Traffic Advisory」という概念(考え方)があります。
航空機の存在とその位置(方向と距離)を判断するために「航空管制識別レーダー」を
使っています。
空には、多くの飛行機がいますので区別がつかなくなります。
区別をつけるために飛行機には、「トランスポンダー:Transponder」と言う装置が搭載
されています。
「トランスポンダー ;Transponder」 は、TRANSmitter(送信機)とresPONDER(応答機)
からの合成語です。
この装置は、ATC(Air Traffic Control:航空管制)からのRadar信号を受信しましたら、
それに反応して情報を含んだ信号を発信します。
「航空管制識別レーダー」は、その信号を受信して、より詳しい情報を管制官に伝えるよ
うなシステムになっております。
パイロットは、飛行直前や飛行中に管制官から指示される4桁の数字を「トランスポンダ
ー:Transponder」にセットします。
各桁0から7までの八進法です。
4096通りの信号を出すことができます。
管制官から指示された、飛行前に指示がない場合は1200という数字をセットします。
この4桁の数字をセッティングすることを「SQUAWK;、スクオーク」と言います。
「トランスポンダー:Transponder」が、「航空管制識別レーダー」の信号を受信しますと、
SQUAWKしている信号を返信(返送)します。
その返送された信号を「航空管制識別レーダー」が航空機を区別し、管制官はレーダー・
パネルに表示された飛行機の管制業務を行います。
私が飛行するプライベート飛行で有視界飛行時には、離陸直前には管制官は余計な「トラ
ンスポンダー:Transponder」のSQUAWKを指示しません。一般的には、1200をセッ
ティングして飛び立ちます。
飛行場の管制範囲にあれば、「トランスポンダー:Transponder」は1200のままでいい
のですが、管制エリアから飛び出す時には、管制官から4桁の数字をSQUAWKしなさい
と指令されます。
こんな感じでATC(Air Traffic Control:航空管制)を管制官とのやりとりをします。
管制官; Cessna JA1223, Squawk 5221 and Ident
パイロット;Squawk 5221, and Ident
管制官; Cessna JA1223, Radar Contact, 5 miles Southeast of Fukushima at 2500ft
Identというのは、トランスポンダー装置のにある「Ident」ボタンを押しなさい!って
いう意味です。
管制レーダーのスクリーン上で特別点滅するとか、大きな音などが鳴って変化があるわけ
ではないのですが、飛行機の形が少し変化するのだそうです。
これだけで、管制官は指示に従ったなぁ!ってことが分かるそうです。
管制官; Cessna JA1223, Radar Contact
と返答してくると「ちゃんとやったね!Radarスクリーン上で確認したよ!」という意味
ですね!?
その後、管制官は5 miles Southeast of Fukushima at 2500ftって話しているのは、レーダー
所上であなたの飛行機は、福島空港の南西5マイル、高度2500ftにいますね!
てなことを教えてくれます。
「トランスポンダー:Transponder」をセッティングして、管制官とのSQUAWKが確立し
たことが確認できます。
管制官からの位置情報が違っている場合は、飛行機の高度規正や方位計が間違っている
か?
別になにか問題があることが発見できます。
パイロットは、ここから管制官に対して、ReaderVectorと言って、Radar上に他の航空機
がいれば教えてくれたり、コースの確認をしてくれたりします。
ある目的地に向かって飛んでいますと、いままでの管制空域から離れる位置に来ましたら、
次の管制空域の管制官に連絡するよう指示をされます。
このことを「Hand-off」と言います。
一応、規定はそうなのですが、多くの場合は事前に管制官同士が情報を伝えておいてくれ
るので、次の管制空域にきたころパイロットから周波数を変更し、次の管制空域管制官に
自機の位置と高度を伝えるぐらいでOKです。
特殊なSquawk Code(「トランスポンダー:Transponder」の数値)があります。
1200 普通の私などが有視界飛行(VFR:Visual Flight Rules)の状態では、このコー
ドで飛びます。
7700 緊急事態が発生したら、このコードを「トランスポンダー:Transponder」に
セッティングします。
先日封切りされました「ハドソン川の奇跡」の映画でも、コックピットで「メーデー、
メーデー」と緊急事態発生の宣言をした後、トランスポンダを「7700」にセットしま
っしたね!?
そうしますと、空港、港で共用する無線全部に非常警報音が傍受されます。
無線周波数も、121.5メガヘルツに設定すれば、全世界の船舶、飛行機にパイロット
との交信をすることができます。
基本的には、受け手は傍受し続け、最優先権のある管制官や緊急出動隊が指示や状況質問
をパイロットと行い、適切な措置が講じられます。
聞くところによりますと、このコードをセットした途端に管制官室の非常ベルが鳴り続け
るそうです!
というより、「トランスポンダー:Transponder」コードの頭が「7」の場合には非常事態
になった意味があり、このコードを傍受できるATC施設では同様に非常ベルが鳴るのだ
そうです(^^;
7600は無線機が故障してしまい、「トランスポンダー:Transponder」が生きている
ときセッティングすべきコードです。
管制塔がある飛行場に着陸するときには、管制塔の指示がライトに変わります。
ところが普通、こんなことになるような状況って少ないので、ライトのシグナルが分から
ず、余計に焦ってしまいます。
私はGUAMでの訓練中、米国教官がおもしろがって飛行前に、無線機の細工をし、なお
かつ管制官に電話でこんなことするから・・・よろしくね!って頼んでおいたのです。
飛行場のトラフィック・パターン(Airfield Traffic Pattern;常周経路)で、無線すること
ができなくなりました。
トラフィック・パターンというのは、空港などの滑走路を目視で離着陸する飛行機が決め
られたコースを飛行する経路のことです。
あのときは・・・焦りましたねぇ~(^^;
いろいろ無線装置をいじくっても、うんともすんとも聞こえない(自分の声も、管制官の
声も、教官の声も・・・)(^^;
教官はニコニコしています。
まもなく管制塔に連絡をして、飛行場にタッチ&ゴー(Touch&Go;着陸設置したら
すぐに飛び立つ)のIntention(要求)を入れなければならないのに・・・(^^;
まずは落ち着かなければと「Make Right 360」;右旋回360度をダウンウィンドでしました。
これで2分間時間が稼げます。
でも無線機は、なんの役にも立ちません(^^;
ついにニコニコ顔の教官が、「トランスポンダー:Transponder」を指差しました。
「ハハァ~ん! そうかぁ、7600かぁ!」
「トランスポンダー:Transponder」を7600のセッティングしたら、こんどは教官が
管制塔の方を指差すのです。
管制塔は見ましたが、・・・いつも通りです!(^^;
もう一度、時間稼ぎしようと思ったら、教官が自身と私のヘッドセットを外し、大声で「管
制官が着陸してもいいよって言ってるよ!」と言うのです。
まぁ~、教官の言うことに従った方がいいので、通常通りの操作手順でベースからファイ
ナルに入りました。
ファイナルに入って、教官がまた管制塔を指差しましたら、なにか光るシグナルが見えま
した。
ライトガンというピストル型の高輝度ライトで指示を送っているのが分かりましたが、
管制官からの指示している意味が分かりません(^^;
「まぁ~ええかぁ~!」
の気分で、いつもの滑走路にタッチ&ゴー(Touch&Go)しました。
エアーボーン(離陸直後)して、教官が無線機のどこかをコチョコチョしたら、無線が
使えるようになりました。
帰還後は、管制塔のライト・シグナル(ライトでの合図)を再勉強するように言われました。
「トランスポンダー:Transponder」を7600にした途端、管制官には無線ができないこ
とを知らせた訳です。
無線機が故障したら、管制官との交信や遠くを飛んでいたら他の飛行機衝突の恐れもあり
ますから、「トランスポンダー:Transponder」を7600にします。
管制官は、すべての飛行機に無線機が故障している飛行機のあることと位置・高度を教え
衝突防止を図ります。
「トランスポンダー:Transponder」の送信情報で位置情報(位置・高度)が分かるのです!
テレビや映画でもご存じのハイジャックが発生したら、7500に「トランスポンダー:
Transponder」をセッティングすることが決まっています。
でもハイジャック犯が「トランスポンダー:Transponder」のことを知っていたら(9・11
犯人のように・・・)、どうするのかなぁ?(^^;
というわけで、今回は「トランスポンダー:Transponder」のお話をしましたが、広域で
仕事をするビジネス・リーダーが、今、どこで何をしているのか? 分かることは組織
統制上、非常に重要です!
特にビジネス・トップは、いかなるとこに居ようとも、非常時に連絡ができる仕組みを
組織では構築すべきです。
ビジネス・リーダーは「トップが転けたら、皆転ける!」「社長の健康=企業の健康」を
しっかりと自覚することを言明します。
ある社長が、国産の高級乗用車を購入したのです。
この車には、オーナーズ・デスクという特別サービスが付帯しております。
購入の際に、誓約書にサインをすると万が一、車が事故・故障して立ち往生したり、具合
が悪くなったり、盗難にあったら、GPSで車のあり場所が分かり、その対応ができる
仕組みなのです。
最初は、なにげに契約書を読みもせず、サインをしたのだそうです。
その契約書に緊急事態が発生したら、連絡を入れるべき電話番号が優先順位に記載する
欄があります。
あるとき、そのオーナーズ・デスクから、彼の携帯電話のベルが鳴りました。
出ましたら・・・、「警備会社からの連絡があって、いま彼の車のリアシート・ガラスが
10cmほど空いていたので、その処置をした」との報告があったのです。
これで一安心です!
これもGPSを使った「トランスポンダー:Transponder」のような情報システムです。
彼曰く、「これ・・・やばいところにいたらまずいよなぁ~(^^;」
何をいっているのですか!
先端技術を先取りして、組織全体で、ビジネス・リーダーも含めて従業員全員の安否確認
がリアルタイム(即座)にできることは、非常に重要なことなのです。
もちろん、不正防止にも位置情報システムは有用です!
いまでは、GPS機能を搭載した端末から情報を取得することで、所持者の位置情報を
管理するシステムが完成されています。
本部センターで一元的に、人、車両、船舶などの現在位置をリアルタイムに地図上で確認
できます。
リアルタイムな状況把握により、急な作業依頼を行う際も、迅速で効率的な指示を出す
ことが可能となります。
音声メッセージや文字メッセージを送信することもできます。それによって柔軟な運行業
務の管理を実現し、ビジネスに有効活用できます。
またGPS機能を搭載したスマートフォンを利用することにより、専用の機器を導入する
ことなく利用することもできるようになってきました。
この位置情報システムは、実は軍用技術から発達してゆきました。
もちろん、それ以外に航海、航空での位置情報システムの有用性とGPSシステムの技術
発展により、どんどん良くなっておりますね!?
ビジネス現場で、有効な利活用をすることで競争有利な条件づくりにつなげ、経営資源の
効率化、生産性向上を実現する道具として、ぜひ検討されることをお勧めします。
ありがとうございました。
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