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飛行機の世界から学ぶ経営いろは考;第32講:『速度計(Airspeed Indicator )の表示』
第32回:『速度計(Airspeed Indicator )の表示』
飛行機には、速度を表示する速度計(Airspeed Indicator;対気速度計)と言うのがコック
ピットにあります。
速度計なのですが、なぜ「Airspeed」と言うのか・・・?
飛行機は空気(Air)に浮いているものですから、空気に対しての速度しか判りません(^^;
そのため、航空業界においては「Airspeed:対気速度」が中心に使われています。
地面に対する速度(対地速度;Ground speed)は、「対気速度:Airspeed」から計算します。
最近では、グラスコクピットと呼ばれるコンピューター表示が増えてきていますので、
GPSでの対気速度や対地速度は自動計算されています。
しかしグラスコクピットは電気に頼っていますので、電気が通電できなかったらという
リスクをヘッジするために、必ずどこかに
1)速度計
2)ターンコーディネーター(傾斜計)
3)気圧高度計
4)姿勢指示器
5)定針儀(DG)
6)昇降計
は設置されています。
飛行機の世界では、アナログ計器はやはり、信頼性が上なのです(^0^)
「対気速度:Airspeed Indicator」には色分けがされています。
これはどの飛行機にもまったく同様の色分けがあります。
ですから、もし急に何かの事情で、乗ったことのない飛行機を操縦しなければならない
ことになったら、最低限「対気速度:Airspeed Indicator」には色分けによって、巡航飛行、
着陸はなんとかできる可能性があります。
速度を読むのは自動車と同じです。ぜんぜん難しくありません!
針が示す速度を読めばいいのです。
ただ単位が自動車の場合には、日本ではKm/hですが飛行機はKnot/hです。
ノット・マイルと読みます。
ノット(knot, 記号 kn,kt)は速さの単位です。
1時間に1海里進む速さです。
海里(かいり)は英語でノーティカル・マイル(nautical mile)です。これは長さの単位
で、「Sea mile」と言われることもあります。
長さは国際海里の場合、正確に1852 mです。
実は、地球上の緯度1分に相当する長さなのです!
もともとは船舶関係の用語です。海面上の長さや航海・航空距離などを表すのに便利で
あるために現在でも使われてます。
飛行機のことを「Air Ship」と読んでいるのも、船が空を飛んでいるからなのです(^0^)
飛行機の場合、「Airspeed Indicator:対気速度計」は、パイロットに分りやすくなっており、
4つの色で表示されています。
通常「Range」と呼んでいます。
1)緑:Green Normal Operating Range
これは通常に飛行できる速度です。
ちょっとぐらいの乱気流でも飛行出来る範囲です。
2)白:Flap Operating Range
フラップ(Flap)を使用する場合に飛行が可能な範囲です。
「フラップ(Flap)」というのは、後日、詳しく書かせていただきますが、飛行機を
低速にしたときでも揚力を落とさないために主翼の面積を広げる補助翼です。
3)黄:Caution Range
飛行してもいいのですが、速度が速いので注意が必要です!
特に乱気流がある所では、この速度は非常に危険です!
4)赤:Never Exceed Speed
絶対に超えてはならない速度です!
それ以上の即を出しますと、正面から飛行機に当たる空気の圧力が強すぎて、構造上に
問題を起すか? 最悪、空中分解の危険性があります。
上記の色分けされた「Range」の中でも、重要な速度ポイントがあり、それを「V-Speeds」
と呼んでいます。
1)緑色部分にあるV-Speed
最低速度にあたる部分がVS1と言われる速度です。
フラップを下げていない(上げている;使っていない)状態では(Flap Up, Power Off,
Level Flight, Maximum Weight状態)、失速を起す速度なのです!
すなわち、その速度以下では飛べないということです。
難しく言いますと「Flap Up Stalling Speed」とも言います。
この速度になる少し前から、「ストール(失速)警報器」がなり始めます。
それでも速度を回復しませんと、スコンと機首が前のめりになってから、操縦不能に
陥ります。
高度が十分にあれば、前のめりになった飛行機が速度を出し始め、そこから回復操作を
適切にすると飛行機はあっぱれ、元の飛行状態に戻ります(^0^)
でも、But、しかし、VS1以下で無理に飛行機をなんとかさせようともがくとスピン
したり、おかしくなって、ほぼ間違いなく墜落します!(^^;
緑色部分の速度が最速の部分をVNOと呼びます。
乱気流に出会っても、この速度なら飛行を行っても良い上限速度のことです。
黄色レンジの始まりでもあります。
2)白色部分のV-Speed
最低の部分がVS0と言われる速度です。
こんどは、フラップを上げている(使っている)状態でも(Flap Down , Power Off, Level
Flight, Maximum Weight)で失速を起してしまう速度のことです。
着陸の時にフラップを全開していて、この速度以下になりますとおそらく地面に飛行機
が叩きつけられるでしょう!(^^;
白色レンジで最速の部分は、VFEと呼ばれる部分です。
フラップ(Flap)を下げて飛行を行っても良い最高上限の速度のことです。
この速度以上でフラップ(Flap)を下げたりしますと、日本のクソッタレ教官は「この
馬鹿野郎!飛行機が木っ端みじんになるじゃぁ~ねぇか!」って怒鳴散らす速度です。
米国の教官ですと、即座にフラップを元に戻して・・・優しく「このそスピードでは、
飛行機に無理が生じて、フラップや主翼が壊れる可能性があります。戻ったら、再度、
マニュアルを読んで勉強して下さい!」です。
実は後日、フラップのことを書くと言いましたが、とにかく、フラップを下ろしますと
急に飛行機が持ち上がります。この風圧は凄まじく注意が必要なのです!
ですから、VFEと書かれる理由は「Maximum flaps-extended speed」だからなのです!
3)黄色部分のV-Speed
黄色の最低速度の部分がVNOと言われる速度で緑のレンジが終る部分でもあります。
英語では「Maximum structural cruising speed」と言います。
乱気流に出会って、飛行機が乱気流に影響されスピードが急に上がることがあります。
そのとき、この黄色レンジに飛行機の速度があれば、なんとか大丈夫かなぁ~っていう
速度です(^^;
黄色のレンジの最速部分は、VNEと呼ばれる部分で、どんな条件でも絶対に超えては
行けない速度なのです。
「Never Extended Speed」のことです。
ここを超えますと赤いレンジに入ります。
4)赤いラインの部分
VNE(Never Extended Speed)と呼ばれる速度です。
繰り返しますが、絶対に(Never)超えては行けない速度です。
越えた瞬間に航空機製造会社の責任分界点を超え、航空機の安全性の保障が無くなりま
す。
落っこちてからだったら、誰にも判らないんじゃ~ないの?と思われるかも知れません
が、対気空気の圧力が強過ぎるため、飛行機の計器や機体のどこかにその証拠(ダメー
ジ)が確実に残っております!
とこのように、飛行機を操縦する時には、速度(スピード)の出し過ぎだけではなく、
遅過ぎも危険であることを示す「対気速度:Airspeed Indicator」には、色分け、マーク
がついております。
さてビジネス・リーダーへの教訓です。
御社・貴組織でも、何かをするときに現況が適正状況にあるのかどうかを常時監視できる
バロメターがありますか?
また何かを始めるときに、「まだ早い!」とか「もう間もなくタイミングを逸するよ!」
と言うような経営数値、販売数値、状況数値がチェックリストのように判断できるように
なっておりますか?
これを適時に行い活用するために経営では「管理会計制度」があります。
これは会計士や会計・経理の専門家に作ってもらうものではありません。
御社の適正数値、異常数値(上限・加減)、ばらつきなどを経験則、同業他社比較できる
ものに加工されていなければなりません。
その数値は、販売数字と労働生産性数値が最優先されなければなりません。
結果数字だけでなく、予算・予測・見積数値を計算可能でなければなりません!
ところが、「そうだ! その通りだ!」って叫ぶのですが・・・できない(^^;
なぜか?・・・タイムカードをしっかり押していない! 勤務時間が曖昧模糊されてい
る。
最悪は「反故」される・・・(^^;
「まだ早い!」とか「もう、まもなくタイミングを逸するよ!」と書きましたが、売上移
動平均法によって、視認できる時系列グラフがあれば、「有頂天になってる!」「そろそ
ろ手抜きをしちゃダメだ!」「なんとか手を打ったことが功を奏する時期に来た!」など
が判るのですね!?
移動平均グラフは、米国のチャート分析家J・E・グランビルが統計学の移動平均法を
株価動向の基調測定に導入し、200日移動平均線を紹介しました。日本には昭和30年
代後半に伝わり普及第一歩とされています。
現在では株価の方向感をつかむ最も基本的なトレンド系投資指標として広く知れ渡ってい
ますが、経営の趨勢を判断するグラフとして非常に有用なグラフです。
労働生産性を議論するのに、「人時生産性」を最優先することも私は推奨しております。
できれば毎週の人時生産性を時系列にグラフ化したり、基準値を設けて、それに対しての
プラス・マイナス乖離を知ることで、スタッフ、従業員の生産度が発見できますね!?
小売業やサービス業など商売をなされている企業なら分子は粗利益高で最適です。
製造業などは、分子を生産量、製造量、行為回数などでOKですね!?
とにかく、分母を総労働人事にすることです。
※これは速度が、分子に距離、分母に時間を入れるのと同じですね!
人時生産性に、最低生産性、適正生産性、上限生産性を基準値にし、ゾーン、レンジを
設定すれば、組織のあり方、組織編成、スタッフ・従業員能力の判定基準にもつなげるこ
とができますね!?
さて人時生産性の概念をわかりやすく説明してみましょう!
少し、計数を使いますが算数程度です!
1)年間人件費って?
12ヶ月×月額給与+年間総賞与(夏賞与、冬賞与、決算賞与)+退職金年間引当額
+福利厚生費+(採用費+教育訓練費)
2)この計算式を平均給与をK円/月で表現します。
=12×K + 4×K + 2×K + 1×K + 1×K =18~20×K
・賞与は年間、給与の4ヶ月分
・退職金引当金は、長期に働いてくれた従業員への慰労退職金を積み立てておく
考えです!年間給与の2ヶ月分は蓄積しておかねば・・・
・福利厚生費、採用・教育訓練費もそれぞれ給与の1ヶ月分は必要です!
3)だから1ヶ月分の人件費は、
(18ヶ月~20ヶ月×K)÷12ヶ月 = 1.5×給与
※給与20万円支給する人の人件費は30万円です! 50万円支給する人の人件費は
75万円です! ですから、パートさん、アルバイトさんだって時給1000円の
人の人件費は1500円です!
4)労働分配率というのがあります。粗利益高に占める人件費の割合です!
適正は33%、すなわち粗利益高3対人件費1の割合です。
でも33%はエクセレント・カンパニーの数字と考えますと40%以下にはしたい
ですね!?
労働分配率を式で表しますと、
労働分配率 = 人件費 ÷ 粗利益高
です!
ですから、上記人件費1.5×給与と標準労働分配率から、
必要粗利益高 = (1.6×給与)÷40% =4.0×給与
※1.5×給与を、1.6×給与にしたのはおかしい?・・・さっき、18ケ月~
20ケ月×給与を12ヶ月で割るときおまけしましたので・・・計算しやすいように
1.6にさせてもらいました(^^♪)
5)さて1年間を考えましょう!
1年 = 365日
完全週休二日制労働 52週間×2日 = 104日
年次有給休暇・特別休暇取得 = 11日
よって、年間就労日数 = 250日
6)一日8時間、1週間40時間労働ですから、
年間総労働時間(人時)は、250日×8時間 = 2000時間
7)平均給与って、新入社員から部長クラスの人たちの給与平均値です!
ここでは平均給与25万円で手を打ちましょう!
そうしたら、年間必要獲得粗利益高は、
12ヶ月×(4×25万円) = 1200万円です!
8)ですから、あるべき人時生産性は、
人時生産性 = 年間必要粗利益高 ÷ 年間総労働時間
= 1200万円 ÷ 2000時間 = 6000円/人時
いかがですか?
御社では、一人1時間当たり管理部・直接利益創造部門ひっくるめて6000円の粗利益
高を稼いでいますか?
売上高じゃぁ~ないですよ!
この人時生産性が高くなればなるほど・・・支払い賃金、賞与を増やすことができるのです!
給与を上げたから、生産性が高くなるのではないですよ!
ダメなビジネス・リーダーは、「気を使って、金使わない」のです!
違うのです!
「気は使うな! 金使え!」なのです。
そのためには、部下を「コキ使う」のです(^^♪
なんとまぁ~ひどい・・・!
いいや!
定義します。
「コキ使う」とは、「価値ある仕事をいっぱい与えること」です。
ビジネス・リーダーは、だから「価値ある仕事」を探し、見つけ、作るのが仕事なのです!
ハイ!(^^♪
ありがとうございました。
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