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飛行機の世界から学ぶ経営いろは考:第29講;『旋回釣合計・旋回傾斜計(Turn Coordinator)』
第29講;『旋回釣合計・旋回傾斜計(Turn Coordinator)』
「天高く馬肥ゆる秋」「スポーツの秋」「女心と秋の空」・・・(^-^)
冬になりますと、アイス・スケート、フィギア・スケートやスキーなどが本格的になりますね!?
チト早いことを書いてしまいましたが、飛行機の旋回に「質」っていうのがあることをご存じですか?
日本の航空パイロットの第一人者で「飛行機の神様」と呼ばれる、御年齢95歳現役;高橋淳さんのことをご存じの方も多いかと存じます。
パイロット歴はなんと70年、現在までの飛行時間は2万5000時間を超えられます。
世界最高齢パイロットとして、昨年ギネスにも認定されました。
私の習ったクソッタレ教官は「そんなもん!」と鼻であしらうのです。
クソッタレ共感は不敬・不遜と言われてもしかたありません。
意外に私はスッキリしている人間なのですが、どうもクソッタレ教官だけは尊敬できない理由の一つがここなのです。
高橋さん、すごいのは年齢だけではありません!
とにかく類まれなる飛行技術をお持ちなのです。専門は小型機なのですが、50種類以上の飛行機を乗りこなされます。
アクロバットではありませんが、前方を飛ぶ飛行機の隣にピッタリとつけて並走することなどお手のものです。
プロでも唸る華麗な操縦テクニックをお持ちですから、その高い技術にプロ・アマ問わず教えを乞う人が後を絶たないといわれております。
航空祭りなどおいでになりますと黒山の人だかりができるそうです。
自衛隊にも何度も呼ばれ講演をされています。
私もビデオとTVドキュメンタリーで高橋さんを拝見したことがあります。
「せっかく生まれてきたんだから、僕は死ぬまで進歩したい・・・(^o^)」
痺れますねぇ~(^^)
「僕はねぇ~、鳥みたいに飛べるようになるのが目標なんだよ!若い人からは"
飛行機の神様"なんておだてられてるけれど、いまだに自分では満足した
ことないのねぇ~。年々、少しはうまくなっていると思うけれど、鳥みたい
に悠々と飛べるようになるには、まだまだだね~!」
「僕はねぇ~、飛んだ後、毎日反省してるんですよ!速度の落とし方が甘かっ
たなぁとか、こうすればもっと上手く着陸できたんじゃぁないかとか・・・。
飛んだときだけじゃなく、自衛隊なんかで講演をしましても、教官として
生徒を教えた時でもねぇ~、いつだって仕事が終わった後は反省してるん
ですよ!」
「何でそんなに反省するのかって? そりゃあ~、進歩したいからですよ!
せっかく生まれてきたんだから、僕は死ぬまで進歩したい! 昨日の自分
より今日の自分の方が格好良くありたいもん! それが生きるってことだろ ぉ~?!」
極めつけの高橋さんのお言葉、
「世の中は何でも平等じゃないのよぉ! でも、必ず楽しいこともある!
仕事を辞めたいと思ったこと・・・? 一度もないよねぇ~。
それどころか仕事を休みたいと思ったこともないよ! 朝起きると仕事が
したくて、体がウズウズするの! もう何十年もそんなんだなぁ~。
どうしてって? そりゃ飛行機に乗るのが好きだからだよ~!」
高橋さんは、小さいころから飛行機の模型を作るのが好きだったそうです。
16歳の時に、たまたま見つけた新聞社主催のグライダー講習会に参加して、飛行時間は30秒くらい乗ったそうです。それからパイロットになろうと本気で考えたそうですが、時代は戦争に向かってまっしぐらとなりました。
20歳になれば軍隊に入らなきゃならないから、最初から軍隊ではパイロットになってやろうと考え海軍飛行予科練習生(予科練)に志願されました。
入隊して直ぐに、太平洋戦争に突入。
配属された部隊では、10機飛び立って5機しか戻ってこられない激戦区だったそうです。
空がすべて敵機で埋まっている日が多かったとおっしゃる。
敵機で真っ黒になった空を見て、「今日はダメかもな」なんてつぶやくやつはみんなやられてたねぇ~(^^;
遺書なんて書いたらまず帰られない!
「要は精神力の問題なんだよ!」
僕は絶対、弱気にはならなかった!
絶対生きて帰ってやる」といつも思ってた!
だって死んだら好きな飛行機に乗れないじゃない~!?
だからどんなに苦しくても危ない状況でも最後まであきらめない!
何が何でも生きて帰って、好きなように空を飛んでやる!
って、いつも思ってたよ(^^)」
「結局、基地で残ったパイロットは僕だけだった(^^;
そんな体験があるから、その後、どんな苦しいことがあっても幸せだと思え
たのかも知れないねぇ~(^^)」
「よく、"若いころの苦労は買ってでもしろ!"っていうけど本当にそうだと
思うよ!
今の若い子は精神面が弱いね!
それじゃ~いい仕事はできないよ!
もっと仕事で苦労しなきゃ~!
それこそ、嫌な上司に怒鳴られたら"ありがとうございます"だよ!
その分、心が鍛えられるんだからお礼を言わなきゃ~!
僕が海軍にいたときは、上官から毎日こん棒でぶん殴られた。
隣がヘマをすりゃ、連帯責任でみんなこん棒でバコーンだ!
不条理だって? 世の中ってのはさ・・・、そもそも不条理なんだよ!
何でも平等じゃない!
だけどどんな状況にいても、楽しいことも必ずある。
それを見つけて楽しく過ごすようにすればいいのぉ~(^^)」
「最高齢プロフェッショナルの教え」;徳間書店刊(取材・文:高嶋ちほ子氏)を参考にさせていただきました。
で・・・ここまで書いてきて、今度は専門用語を並べ立てようって・・・魂胆なのですが、ゴメンやすぅ~(^^;)
実は、ご紹介した高橋淳さんが以前、テレビの取材番組(あの松岡修造さんがインタビューアー)で取材されながらの飛行中に、コックピットのダッシュボード真ん中に、愛用のタバコの箱をちょこんと立てて置く、ご自身の旋回を松岡修三さんに見せてあげたのです。
見事にひっくり返ることなく飛行機は右に左に旋回しました。
まぁ~、私程度の人間でしたら、直ぐにタバコの箱がひっくり返ったり、どこかに飛んで行きます。
それほど旋回に技術の差が出るのです~(^^)
これを飛行機の旋回の「質」というのです!
さて、ちっとばかり飛行機の装置・計器のお話をさせていただきます。
「旋回釣合計・旋回傾斜計(Turn Coordinator)」というのが計器の中の一つにあります。
飛行機が旋回する割合とロールの割合を示しています。
ローリング (rolling) というのは、すべての乗り物など前後・左右・上下が決まった物体が、前後の軸に対して回転(あるいは傾斜)することをいいます。
単にロール (roll) と呼んでいます。
復習になりますが、飛行機をプロペラ中心から後尾まで突き刺した軸が回転することで起こる横揺れのことをローリング (rolling)といいます。
左右の軸まわりの回転がピッチング (pitching)でした。上下軸まわりの回転がヨーイング (yawing)と呼びました。
「旋回釣合計・旋回傾斜計(Turn Coordinator)」は丸っこい計器なのですが、下の方にガラス管(Inclinometer)があります。そこに黒い小さな玉(Ball)が入っています。
水平計は水の中に空気が入っていますよね!?
同じような空気が黒玉になっているものと思って下さい!
この黒玉がガラス管の中を右に左に動きます。
黒玉がど真ん中に位置しているときは安定した状態(バランスの取れた状態)です。
バランスの取れた状態で旋回しますと、気流の流れが飛行機に対して平行に流れるのです。それを「旋回がスムースだ!」と言います。
まぁ~、訓練生の時はクソッタレ教官から、
「ほらぁ~! 玉がズレてっじゃぁないか!」
ってどやされました。・・・確かにボクは、〇が左よりですよ!(^^)
Ball Inclinometer 単にボールと呼ぶときが多い。
この計器の下部にはInclinometerと言って、液体の入ったガラス菅の中に黒いボールが入っています。このボールはRudderやAileronが正しく使われているか、旋回が上手く行われているかを教えてくれます。 このBallを見る事で、旋回の質(Quality of Turn)が分ります。
このボールが、ガラス管のど真ん中に来ている時、飛行機は釣合いが取れている状態なのです。
「Balanced」とか「Centered」になっていると呼んでいます。
この状態では補助翼(Aileron)や方向舵(Rudder)が正しく使われていると言う意味です!
この状態の航空機に掛かる力が、ちょうど航空機自体の真下の方向へ向かっているのです。
地球の地面の方向に力が向いているのではなく、飛行機の構造上での下なんです!
この状態では、飛行機の表面を流れる気流も機体と平行に流れていて、旋回がスムースになります。
体がなんと左右に傾くことがありません!
ですから、高橋名人が飛行機を旋回させても、同乗者はまったく違和感がないのです!
あのタバコも身動きしないのですね(^o^)
ボールがガラス管の中心にない時は、方向舵(Rudder)の量が不適切なのです!
ボールがいる方の方向舵(Rudder)を踏み込んでボールを中心に戻します。
英語では「Step on the Ball」とか「Kick the Ball」と言っております。
方向舵(Rudder)は両足のところにあります。ペダルのような格好をしております。
旋回(バンク)を始めた時、「旋回釣合計・旋回傾斜計(Turn Coordinator)」は、ロールの割合(Rate of Roll)を表します。
旋回が落ち着きますと、次は「旋回率(Rate of Turn)」を表します。
旋回が安定しますと、計器の真ん中に有る小さな飛行機マークは旋回率、旋回の割合を示しています。
バンクしている角度を示してはいませんが機首の動きを示しております。
「R」や「L」と書かれた目盛があります。
それに合わせて旋回しますと、なんとピッタンコカンカン、どんな飛行機でも(ジャンボだろうが、軽飛行機であろうが)ジャスト2分間で一周=360度旋回をするのです!
ですから、1分で180度旋回します。30秒で90度旋回することが分かりますと操縦がうんと楽になります。
この時間に対しての旋回度数を「Standard Rate of Turn」と言います。
冒頭に、飛行機仲間出会ったら知らない人は「エセ者」と呼ばれるほど素晴らしいパイロット高橋さんの操縦をご紹介しました。
パイロットの技術は、それは旋回に差が出る!
これを飛行機の旋回の「質」という・・・と書きました。
ビジネスの世界でも、特にビジネス・リーダーの「質」も方向転換の時に出ます。
「経営戦略」というのは、「時流に乗ること」と定義します。
「時流に乗る」というのは、まさに「変化(社会環境、顧客志向、製品原材料供給チャネル、法律、制度・・・・・いっぱい!)に適応すること」なのです。
あるトンチンカンな経営者が、私にこんな質問をしたのです!
「先生、長年のご経験から・・・黒字の企業と赤字の企業の違いはなんですか?」って(^^;
これまた・・・管理者達の前で質問するものですから、私はサディスト的に社長をいじめたくなるのです!
「簡単です! それは、社長の質の差です!(^o^)」
管理者・幹部達は下を向いて、ほくそ笑んでいました。
みんな知っているのです!
さてビジネス・リーダーの「質」を明確に決定づける一つの能力を紹介します。
企業・組織には、必ず「目標」があります。
それを熟知しているかどうかは・・・当たり前ですが、これもヘナチョコ・ビジネス・リーダーは、自分で考えたはず、自分で納得したはずなのに・・・知らないのがいます(^^;)
「目標」には「期限」が付きものです!
「期限」までに、与えられた「目標・ノルマ」を達成するために「権限」が与えられ、「義務」と「責任」が付与されるのを『任務』といいます。
『任務遂行』のためには、「期限」までにチェックポイントを設けて、途中途中で現状の進捗度・ギャップを把握しなければなりません!
もし、「進捗度」が思うようにいっていなかったら・・・それはなぜですか?
簡単です!
やり方が間違っているか、関係するスタッフが決められたようにやっていないのです!
だから即時に、今までのやり方を変えるか、やっていないスタッフの「理解度」を深め、やり方を周知徹底をするのです。
今までのやり方を変えたら(旋回しますよ!)、かならず誰かが「今までの方が楽だ! 前の方法の方がいいよ!」なんて言い出します。
また煽動して、自分の仲間作りまでします。
「やり方を変えたら」・・・「教育」「訓練」が不可欠なのです!
ここでも定義します。
「教育」とは、考え方をプラス発想に変えることです!
「訓練」とは、できる腕前づくりです!
この「教育・訓練」も含めて、組織の目標とやり方の共有化(コンセンサスを取る)、モチベーション・アップ、造反者のでない組織づくりをするのが、ビジネス・リーダーなのです!
そうしないと「やり方を変える」=「変化への適応」に際して、「旋回」=「方向転換」がおかしくなります。
実は「旋回中」に飛行機が失速してしまうことが多々あります。
その理屈は、以前にも書かせていただきました。
だから「旋回」の「質」は重要なのです!
乗り心地も含めて、ビジネス・リーダーの「質」を向上させることは「管理技術の向上」=「マネジメント力向上」であり、ご自身の自己啓発課題にすべき必須課題なのです!
ありがとうございました。
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