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飛行機の世界から学ぶ経営いろは考:第28講;『航空機用磁気コンパス(Magnetic Compass)』
第28講;『航空機用磁気コンパス(Magnetic Compass)』
今回はやはり・・・長くなるかも知れません。
いつものように、最初にお断りしておきます。
難しい、つまらんと思ったら、躊躇なく最後の方に「ビジネス・リーダーへの教訓として」からはじまる文言まで読み飛ばして下さい!
ただ、いつも主文に基づいて、こじつけに限りなく近いですがビジネス・リーダーへの教訓を書き上げています。
その辺もどうかご理解下さい!
さて実は、私の一番苦手な飛行機の計器が「磁気コンパス(Magnetic Compass)」なのです。
なぜか?
簡単です! 一番、見づらい計器だからです。
といっても出発前には、この「磁気コンパス(Magnetic Compass)」と「定針儀」と日本語で言いますが、英語では「ディレクショナル・ジャイロ(DG:directional gyro)」という計器の方位を合わせなければなりません。
それが合わせづらいからなのです。
飛行機の「磁気コンパス(Magnetic Compass)」は車で言いますとダッシュボードの中央に置かれているオートバックスなどでも売っているあの「磁気コンパス(Magnetic Compass)」とほぼ同じです。
ただ精度が違います。
飛行機の方がいいです!
とにかく見づらいのです!
外の光を乱反射させるので余計に見づらいのですが、ベテランのパイロットに聞くとそんなに違和感がないよ!と軽いのです(^^;
この「磁気コンパス(Magnetic Compass)」は余り使われておりませんが、ベテラン・パイロット(あのクソッタレ教官も含む)から言わせますと重要な計器なのだそうです。
シンプルで構造も簡単なのです。
これがちゃんと使えれば、最も信頼の置ける計器なのだそうです。
クソッタレ教官曰く、「飛行機の電源がシャットダウンしたり、後日、詳しく論じますジャイロで機能する計器がダメになっても、この「磁気コンパス(Magnetic Compass)」一つで空港に辿り着くことができる!」のだそうです。・・・ホンマかいなぁ~!?
とはいうものの重要な計器の一つです!
昔は登山やハイキング、ドライブに行くにはコンパスと地図持参でしたね!?
昨今は、車にも携帯電話にも「NAVI機能」があり、それを難なく使う人が多いので、コンパスの必要性が極端になくなってきております(^^;)
実は「磁気コンパス(Magnetic Compass)」にはエラーがあるのです!
それは、どんな影響を受けているかを知っていることが大事なのです!
飛行機の操縦中、「磁気コンパス(Magnetic Compass)」は「水平直線飛行Straight-and-Level」状態の安定した飛行中だけ、「磁気コンパス(Magnetic Compass)」が正常な数値を表示しております。
ですから、「磁気コンパス(Magnetic Compass)」を使う時は、水平飛行で安定飛行中の時にだけ使用可能なのです!
「磁気コンパス(Magnetic Compass)」には磁石が入っております。
小学生の時に学びましたよね!?
コンパスは北を指してくれます。
速度を変えず、水平直線飛行をしている時は誤差が最小で、ほぼ正確な方向を示しています。
「磁気コンパス(Magnetic Compass)」には、磁石が液体の中で浮遊しているだけの非常に簡単な構造になっております。
すなわち、プカプカ浮いている状態だからなのです。
そのために、いろいろな影響を受けてしまいます。
「磁気コンパス(Magnetic Compass)」が受ける4つの影響、エラーは、飛行訓練生の段階で確実に憶えなければなりません。筆記試験にも、実技試験の試験官質問にもだされるからです。
1)加速や減速時に起こるエラー(Acceleration Error)
2)旋回時に起こるエラー(Turning Error)
3)磁場の影響で起こるエラー:機内の装備で起こる(Deviation )
4)磁石の北と北極点(地軸)の違いによって起こるエラー(Variation)
難しそうなことを書きましたが、通常は真っ直ぐに飛んでいるなら「磁気コンパス(Magnetic Compass)」は正確に方向を示しています。
ところが飛行訓練初期の頃から、「磁気コンパス(Magnetic Compass)」の弱点を補ってくれる「方向指示計(Heading Indicator)」ってのがあります。
「方向指示計(Heading Indicator)」(通称:コンパスとも言いますが、正式には磁器コンパスの方が優位です!)は0~360°(degree)で方向を示します。
単位は万国共通です。
この「方向指示計(Heading Indicator)」については、次回お話しますね!
ただ「方向指示計(Heading Indicator)」は「Gyro」という機能を使っていますので、誤差が少しづつ溜まってくるのです!
15分に一度ぐらい、「磁気コンパス(Magnetic Compass)」を見て、その方位に「方向指示計(Heading Indicator)」を調節しなければなりません。
先ほど、プカプカ浮いているから「磁気コンパス(Magnetic Compass)」には誤差があると書きました。
基本的には、磁石が向くのは「北、北極点」です。
ところが地球儀を持って説明をお読みいただければ分かるのですが、実際の北は地面に平行した向こうの方にあるのではなく、地面(地平線:水平線)よりも下にあります。
だって地球は丸いですから、地球儀で横から見ますと北極点へのまっすぐは地球の地面に突き刺さって行く方向にある。そう下の方になるでしょ~(^o^)/
この磁石の極点が下にあるため、飛行操縦中は「磁気コンパス(Magnetic Compass)」に誤差が生じてしまいます。
この下を向く傾向を「Dip」とか「Magnetic Dip」と呼びます。
この下を向く傾向を緩和するために「磁気コンパス(Magnetic Compass)」には、「Dip-Correction Weight」と呼ぶ重りが反対側(南極側)に付いているそうです。
この重りによって、「磁気コンパス(Magnetic Compass)」はあまり傾くことが無く、見やすく表示されます。
この「Magnetic Dip」は、北半球では北の方向が下がるようになってしまいます。
赤道上では「Magnetic Dip」が0度になります。
実は、この「Magnetic Dip」の角度は経度と同じになります。
ですから北というのは水平線の方向にあるような気がしますが、実際のコンパスが指す方向は、日本では35度ぐらい地面の下の方になります。
その角度は飛行している緯度に比例します。
大切な「磁気コンパス(Magnetic Compass)」ですが、なぜ誤差が発生するのか?
それを理解していれば、誤差が発生している間は「磁気コンパス(Magnetic Compass)」を信用しなければいいのですね!
そこで少々、小難しいことを書きますがお許し下さい!
1)加速エラー(Acceleration Error)と減速エラー(Deceleration Error)の場合
・速度を変えますと慣性(Inertia)の勢いで、コンパス内部で色々と部品が動きます。
・飛行機を加速しますとコンパスも加速します。
・コンパス自体は液体の中に浮遊していますので、液体より重たいコンパスは遅れて
反応します。
・さきほどDipを修正する為に、南局側に「重り」が付いていると書きましたが、
浮遊する物体の北側と南側とでは重さの違いがあり、どうしても重い方が遅れて
動きます。ですから、飛行機が加速し始めたら、北側が先に動き出します。
・動くと言う事は、コンパスがチョコッと回転してしまうのです。
表示が一時的に狂う訳です。
・それでどちらに動くかと言いますと、加速しますと一時的に北を向くのです!
これを「Accelerate North」と憶えます。
・逆に減速しますと反対の南を向く傾向があります。これを「Decelerate South」と
憶えます。
・米国FAAのテキストでは親切に覚え方が書いてあります。
ANDS:「英語のandにSを付けて」
AccelerationするとNorth、DecelerationするとSouthを向くと覚えるのです\^-^/
・ちなみに真北や真南を向かって飛行している時は、加速してもエラーは発生しま
せん。
2) 旋回エラー(Turning Error)
磁石は北の方向を指しています。しかし「Magnetic Dip」の影響でコンパスが傾き
ますと、コンパスは北を向こうとします。すなわち地面の方向に向いてしまいます。
これが旋回エラーの原因になります。
・飛行機を旋回させるには、飛行機を傾けます。そうしますとコンパスも傾くので
す。
・コンパスは傾いたと同時に、コンパスが北を向こうと・・・すなわち下に向こうと
します。
・コンパスが下向きに動こうとするので、コンパスが回転ししまい表示に狂いが生じ
ます。
・北向きの方向から旋回しますと、コンパスは一時的に反対方向を示します。
・北向きに旋回が始まりますと、早いペースで旋回の方向を示し、東西方向の時に
正しく示します。
・南向きに旋回しますと、飛行機を傾けるだけで旋回する前から旋回の方向を示し
ます。
・南方向への旋回が始まりますと、ゆっくりと旋回し、東西の時に正しく示します。
・飛行機が東西の方向を向いている時は、傾けてもエラーは出ません。
この方向からの旋回でも、最初は正しく表示します。
・東西方向への旋回の時は、北が真横になります。ですから機体(磁気コンパス)
を傾けても北は真横にありますから、コンパスは傾いて北を向くのですが、傾く
方向が既に真横と同じ方向なのでエラーは発生しません。
・090度(東)方向や270度(西)方向では、コンパスのN極は、既に同じ
方向を示していますので下に向こうとしても、それが正常なので誤差が発生しな
いのです。
・ですから、000度(北)方向と180度(南)方向への旋回でエラーが最大に
なります。
3)旋回を終える時の旋回エラー(Turning Error)
・東西の方向で旋回を終えるのでしたら、エラーがありません。
・北向きで旋回を終える時は、表示よりも早めに終えるテクニックを持つ必要が
あります。
・南向きで旋回を終える時は、行き過ぎてから旋回を終えるテクニックを持つ必要が
あります。
・米国FAAのテキストでは、これまた親切に覚え方が書いてありますが、私日本人
には憶えずづらいです(^^;)
英語で「Turn to North、Under Shoot! Turn to South、 Over Shoot! 」って(^^;
日本語で格なら、「北へは早く、南は遅く旋回をやめろ!」の方がしっくり
します\^-^/
ある日本の熟練パイロットが、「北は寒いので早く終わって、南国は楽しいので
遅らせろ!」と覚えるといいんじゃぁない!って(^^)
あのクソッタレ教官には、教わることがありませんでした(^^;
・先ほども書きましたが、エラーの角度最大値は「その場の緯度」と同じになります。
ですから北向きで旋回を終えたければ、緯度の分だけ早めに旋回を終えます。
とにかく、 何もしなければ磁石は水平で北を向きます。
飛行機は、旋回中傾いていますのでコンパスは狂っているのです!
そんで・・・ここの解説は全て北半球を想定して書いております。
日本やアメリカ等は、北半球にあります。
これを英語で「Northern Hemisphere Only」といいますが、南半球に行きましたら、まったく逆の現象が起こります。
以前にオーストラリア・ケアンズに行って、グレートバリア・リーフの上を低空飛行しに行きました。
離陸前に、南半球ではコンパス・エラーがどのように起こるのか確かめるぞ!って意気込んで飛びましたが・・・、素晴らしい景色の方が優先で、スッカリ忘れて帰還してきました(^^;
4)他の「磁気コンパス(Magnetic Compass)」のエラー
・ 自差(Deviation)というのがあります。
・飛行機の中には無線機やエンジンなど、磁場に影響を与える物が沢山あります。 飛行機自体の磁力によって発生する影響を自差(Deviation)と言います。
普通のコンパスでもテレビやラジオ、スピーカーなどに近づけますと向きが変わ
りますよね!?それが自差(Deviation)です。
・偏差(Variation)というのがあります。
・「地図上の北」と「磁石の北」は、実は同じ方角にあるのですが、実際にはかなり
離れています。
その為、「地図上の北」と「コンパスが示す北」とはかなりの差があります。
それを偏差(Variation)と言います。
・東よりに磁北が見えるようでは東偏差(Eastery Variation)と言います。航空地図(
チャート)上にそれぞれの地域でどのくらいの偏差があるのか書かれています。
それをきちんと読み取って、ナビゲーションに行かないと遠くになればなるほど、
変な所に飛んでいってしまいます。
意外と、地図と空の上からの風景は違います。特に山に入ったら、何がなんだか
まったく解りません!
・日本では西偏差です。だいたい5~9°西偏差(W)です。
またまた、もう十分だと思われるでしょうけれど、地図の北を「真北(True North、TH)」といいます。
コンパス・磁石が示す北を「磁北(Magnetic North、MN)」と言います。
偏差(Variation)は本当にわずかなのですが、常時、変化しています。
数年毎に0.1度程度、コンパス・磁石の北は移動しております!
ここまで長々と書いてきましたが、「航空機用磁気コンパス(Magnetic Compass)」を使って、飛行前の点検(Preflight Check)で必ずやらねばならないことがあります。
「航空機用磁気コンパス(Magnetic Compass)」はほとんど故障することがないほどの計器です。
確実な方位(Heading)を教えてくれる唯一の計器なのです。
「方向指示計(Heading Indicator)」は使い易く便利な計器なのですが、飛行しておりますと誤差が大きくなってゆきます。
離陸前には、「航空機用磁気コンパス(Magnetic Compass)」と「方向指示計(Heading Indicator)」双方に問題が無いかを確認する必要があります。
このとき、どうも私は「航空機用磁気コンパス(Magnetic Compass)」が見づらくて苦労をします。
最近、その理由が分かってきました。
恥ずかしながら、加齢から来る「白内障」が進行しているのですね(^^;
ですから外が眩しく、特に「航空機用磁気コンパス(Magnetic Compass)」が光の乱反射で確実に読み取れないときがあります。
さてさて、本当に長い講釈をしてしまいました。お許し下さい!
それで・・・ビジネス・リーダーへの教訓です。
御社では、少なくとも毎年「経営計画書」を策定していますか?
また数年に1回は「経営戦略計画書(中長期経営計画書)」を策定していますか?
ビジネス・リーダー個人個人は、小生の管理者研修を受講した人ならお判りでしょうが
「人生設計」を作成していますよね!?
ちょっと定義を申し上げます。
「戦略」・「経営戦略」・「戦術」・「戦闘」という計画段階があります。
【戦略】とは、あなたの企業・組織がこれから10年後・・・確実に存続している策のことです。
いかがですか?・・・・・「もちろん考えていますよ!」
でも、社会環境が今とはまったく違っていることは十分に考えられます。
というよりか・・・あなたは10年後、どれくらい「知・徳・体」を維持向上することができますか?
もしや、それなりの年齢なら・・・「後継者」は決まっていますか?
「会社組織」の「社会適合能力」=「経営資源」=「ケーパビリティ」が、その時代に適合・適用できるようになっているのでしょうか?
そのための長期的な「人財育成」・「人材採用」の計画、「組織の変容・変化柔軟性」を高める組織体質づくりをしっかりと計画実践しておりますか?
【経営戦略】とは、「時流」に乗ることです!
あなたの企業・組織は、今の「時流」に乗っていますか?
考え方だけが「時流」に添っていると思っても、「時流」に乗っている従業者は何人いますか?
「時流」に乗るためのスキルを全従業者が、自己啓発、自社能力開発制度によって高める気概が全社・組織一丸となって盛り上がっていますか?
「時流」は、まさに「波」に乗ることです! 波が行ってしまってから、次の波が来るまで待っていたのでは・・・(^^;
トップのビジネス・リーダーは、そのために現場作業にのめり込んでしまって、波を探し見つけることのできない状態を作ってはなりません!
【戦術】【戦闘】は、戦う、対処する、対応する具体的な御社の作法です!
「〇〇流」でいいのです!
それでも、企業・組織の「〇〇流」がマニュアルや規定・規約としてルール化され、そのことが周知徹底され、みんながほぼ間違いなく実践できる「教育・訓練」ができる体制になっていることです。
さてさて・・・、ビジネス・リーダーの皆さん!
「経営計画」は、まさに企業・組織の進むべきものです。飛行機の世界では「フライト・プラン(航法計画)」です。
飛行機の世界では離陸から上昇まで、高度や方位、変位、通過点が決まったフォーマットで「フライト・プラン(航法計画)」にきちんと計算して書き上げます。
その「フライト・プラン(航法計画)」に基づいて、的確な飛行をして行かなければなりません。
途中で、天候が悪化することも考慮して、ダイバージョンという代替飛行場を書き込んでおいたり、途中で天候情報を傍受し、航法を果敢に変更します。
そうしないと・・・「死」が待っているからです!
企業・組織だってまったく同様に「法の下に人格」が与えられた「法人」なら、常に「戦い(競争・競合)」があり「死」に直面することがあります。
それを未然に防ぐための的確な「経営計画書」を策定しておりますか?
「経営計画書」を策定はしているが・・・、作った後、全然見たことがなくお飾りになってしまっている企業・組織もたくさん見聞きしてきました。
大概、やはり・・・ダメですね!?(^^;
「経営計画」を策定したら、きちんとした「コンパス(方位計)」を持ち、時々、所々で読み直しをして、加筆修正をすべきです。
もしやすると・・・今年度やろうとした事業を果敢に断念するべきこともあります。
それができるのも、社会環境を見つつ、現在の「経営資源(人・モノ・金・時間・情報)」=「ケーパビリティ」が分かり、「脚下照顧」できるからなのです。
「経営計画」は「羅針盤」です。それを屈指するのに、「コンパス」と「エンペツ」と「定規」と・・・「気概」が必要なのです!
ありがとうございました。
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