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飛行機の世界から学ぶ経営いろは考:第22講;『Mixture Control(ガソリン混合比調整)』
第22講;『Mixture Control(ガソリン混合比調整)』
私は昔から、キャブレターというのが自動車にはあるということは知っていてもエンジンルームでは見たことがありません。というより、ほとんどエンジンルームを覗くことなどありません。
もちろん自動車整備士なら、どこにあって、どんな役目をするのか熟知されています。
飛行機は何度もいいますがエンジンが止まったら・・・だいたいお終いなのです。
といってエンジンが止まったから、エンジンルームを飛行中に開けて点検・修理をすることなど不可能です!
ですから、出発前にエンジンに関わる総ての装置作動が大丈夫かどうか? をチェックするのは機長の責任なのです!
もちろん私は小型1級船舶免許を持っておりますので、ディーゼル・エンジン系統の勉強をした記憶がありますが・・・、忘れました。
遠洋航海にも行くことがないし、ディーゼル・エンジンは電気系統が不要なため、そんなに故障をすることもないだろうとの勝手な判断で軽く考えています。
ガソリン・エンジンも、ディーゼル・エンジンも燃焼室に燃料と空気を送る「Carburetor(キャブレター)」という装置があります。
小型飛行機の実地試験では、試験官が必ず質問する必須項目の一つなのです。
代表的なCarburetor(キャブレター)の機構(仕組み)が説明できないと「出発前チェックリストをなぜやってんの!?」ってな具合で、実技試験を受けさせてくれません(^^;
Carburetor(キャブレター)は、ガソリンと空気を混合して、エンジンに燃料を送り込む大切な部品装置です。
これだけでは不十分です!
混合気(ガソリンと空気の混合されたもの)の量を調節して、エンジンの出力を調節したり、液体であるガソリンを気化するためにも重要なのです!
ご承知の様に、飛行機は上空高くに行けばゆくほど空気が薄くなります。
そんな上空でも飛行しますから、混合気の燃料比率が多くなり過ぎないよう燃料の量を調節する仕組みがCarburetor(キャブレター)にあります。
またCarburetor(キャブレター)は、あとで説明しますがガソリンと空気の混合中、内部に氷ができることがあります。それは絶対に溶かさなければガソリン供給がストップし、エンジンがパタッと止まってしまいます。
小型飛行機では着陸寸前に、エンジン・ストップの故障で事故になることが意外と多いのです!
ほとんどの飛行機ではCarburetor(キャブレター)は、エンジンの下に付いています。
カウリングという車で言えばバンパーを開けますと、エンジン回りに色々な部品があるので探すのに大変ですが、ピンクの矢印で示している物がCarburetor(キャブレター)です。
Carburetor(キャブレター)は、外から取り入れられた空気(もちろんフィルターを通して綺麗にします)を使います。
上空では大気が薄くなるので、これでエンジンに送り込まれる空気とガソリンの比率を調整します。
これを「Mixture Control(ガソリン混合比調整)」と言います。
これは飛行機独特のものだと思います。
自動車でも、この機能はあるようですが、整備士やマニアックな人たちがエンジンルームを開けて、エンジンの出力を調整するために使うぐらいでしょう。
一般のドライバーは、見ることも触ることもないのではないでしょうか?
さて飛行機がドンドン上昇しますと空気は薄くなっていきます。
それでもエンジンには、ほぼ一定の燃料が供給される必要があります!
地上の時の状態で放っておきますと、混合気は濃くなって行きます。
燃料の量は一定で、空気の量が減りますと濃すぎる混合気になってしまいます。
不要なガソリンが、エンジンに多く行くこととなりますので、エンジン内部の爆発力(出力)が低下します。また燃料も無駄になります!
そのため、飛行機には「Mixture Controlレバー」なる物が付いております。
燃料の量を、コクピット中からパイロットが調節することが出来ます。
どこのどんな形のモノ? といのは文章で表現するのは難しいのです(私は稚拙な物書きですから・・・)(^^;
とにかく、中央のパネル下部に赤色のレバーがあります。それです!
そのMixture (赤色レバー)を手前に引きますと、エンジンへの燃料の供給量が減るようになっています。
微調整のために、Mixture Control レバーは左右に回すことができます。
右に回すと微量に燃料が多く供給され、左に回すと燃料を微量に絞ります。
もちろん空気の量が減りますので、上空ではエンジン出力が低下することは否めません!燃料の割合を多くする事を「Rich(リッチ)」、減らす事を「Lean(リーン)」と言います。
3000ft以上の高度になったら、Mixture Control レバーで混合気を調整します。
「Mixture Control(ガソリン混合比調整)」によって最適な混合気比率を守り、上空でもエンジン出力の効率を上げ、燃費を向上させることが、それなりのパイロットになった証拠です!
エンジンに供給される混合気の量を調節するのはThrottle(スロットル)と呼び、これが車ではアクセルと同様です。
こんなこと、ここのブログではどうでも良いのですが・・・少し知ったかぶりっ子をお許し下さい(^^;
飛行機が3000ft(1000m)付近に達しますれば・・・ゆっくりとMixture Controlレバーを少しづつ手前に引きます。
そうしますとエンジンに供給される燃料の量が減ってきます。
そこでTachometer(回転計)を見ながらやっていますと、ちょっとづつ回転数(RPM)が上がって来ます。
手前に引き過ぎますと、燃料の量が減り過ぎて回転数(RPM)が下がってきます。
ですから、回転数(RPM)が上がり、いったん下がり始めたらMixture Controlレバーをクルクル右に回しながら、その時点の最高回転数(RPM)となれば、Miture Control(ガソリン混合比調整)が完璧に合っている状態なのです(^o^)/
ただ燃料には、熱を奪い取る働きがあることとオーバーヒートを防ぐ為に、最高状態よりちょっとだけ燃料を多い目に供給するのがコツどころです。
日本のクソッタレ教官はこんなことを教えてくれませんでした(^^;
米国の教官は、この辺を図解しながら座学でしっかりと教えてくれました。
多くの飛行機には排気ガスの温度を測定するEGT Gauge(Exhaust Gas Temperature Gauge)ってのが付いております。 EGTは排気ガスの温度を測る計器ですので、より確実に「Mixture Control(ガソリン混合比調整)」の制御ができます。
ちょっと高級な飛行機になりますと、Fuel Follow Gauge(燃料流量計)ってのが付いています。
これはエンジンへガソリンが流れる量を示す計器です。
飛行機の性能表を見ますと、指定高度で、指定のエンジン出力でのガソリン供給量(GPH)が表示されています。
それに合わせてパイロットは「Mixture Control(ガソリン混合比調整)」をします。
もちろん、安全のためにEGTで確認することも併行してやります!
上空で、最適な混合比(Mixture Rate)に合わせています。
先ほども書きましたが、エンジンは多少多目のガソリンを送って、余ったガソリンで熱を逃がす働きもあります。
そのまま下降・着陸をしますと、今度は空気の比率が多くなって混合気が薄くなり過ぎてしまいます。(この状態をLeanといいます)
高高度から何もせずに下降を続けますとLeanに成り過ぎるので注意が必要なのです。
そのままの状態で、何かしらの理由(Go-Around や Missed Approach)で出力を上げますと、エンジンが高温になってしまい、オーバーヒートを起す可能性があります!
特に着陸直前では、MixtureがFull rich(最高燃料比)になっていることがチェックリストに書かれています!
実は、パイロットとして、Carburetor(キャブレター)に関わる常識的問題をスラスラ言えないと口述試験に落っこちてしまうのです(^^;
そのまとめは、
1)高度が上る(Higher Altitude)と大気の気圧が下がる;Air Pressure Decrease
2)そうなると大気の密度も下がる:Air Desity Decrease
3)エンジンに行く空気の密度も下がる;Less Air into an Engine
4)燃料は一定でも、混合割合が高くなる;Higher Ratio (More Fuel) of Fuel, Rich
5)そこでMixture Controlで燃料を減らし;Decrease fuel flow
6)適切な混合比率(混合気)を保たねばならない;Proper Fuel/Air Rate
7)飛行性能向上と燃料を無駄にしないことを心がける;Increase Engine Performance and
Save Fuel
現実には、
1)標高が高い空港では;High Elevation Field
2)空気が薄い;Less Air
3)ガソリンの量が一定なら濃すぎる;Rich Mixutre
4)だから、そのままだと性能が落ちる;Lower Enigne Performance
5)MixureをLeanにして離陸すること!
さてさて・・・知ったかぶりをゴメンなさい!
ビジネス・リーダーとしての教訓づくりをしましょう(^o^)/
とにもかくにも、企業・組織が拡大成長、伸張状態にあるときと言うのは、店舗や営業所、事業部が新設されてゆきます!
ですから、現況の従業者のままで増える仕事、作業を熟(こな)そうとすると、どうしても人材の希薄現象が起こるのです。
ほとんどの膨張企業・組織に起こる事象なのです!
ここで、「売り気だ! やる気だ! 根性だ! そうなのだ! 朝星・夜星で頑張るのだ!」ってことになりかねない・・・(^^;
ご承知の様に、いまの世の中では「ブラック企業まっしぐら!」ですね!?
以前なら、「3K」「5K」企業と揶揄された・・・(^^;
今回の『Mixture Control(ガソリン混合比調整)』から得るものは・・・真逆ではないの?と考える方は、まずまず頭の働きがいいのです!
でも・・・中途半端なのです!・・・失礼しました(^^;
実は、上昇しつつある企業・組織において「人材希薄現象」が起こることは「自然の理」なのです!
どうしたらいい・・・?
答えは、「人材」の「生産性」を高めることに尽きるのです!
飛行機と同様に、全体パワーは一時落ちますが、「生産性」が上がった「人材」が仕事・作業をやるようになると・・・確実に余裕が生まれます。
そうなって、次の将来を嘱望できる「人材」の採用を行うのです!
余裕のある既存の「人材」が、新人を基本的にマンツー・マンで徹底して鍛え上げる仕組みを作るのです。
ここで格言を皆さんに押しつけます!
飛行機の世界では、失敗は「死に至る」のですから、押しつけられる教訓が多々あり、ごく自然に行われます!
「未見の我の発見」をさせるために、「重荷主義に徹する!」
「そのために・・・ドライに、クールに組織を統制せよ!」
「未見の我の発見」とは、誰もが「未だかつて見たことのない素晴らしい自分の能力」を見つけることができる社風を作ることです。
ですからビジネス・リーダーは「価値ある仕事」をあらん限り沢山用意すべきなのです!
その「価値ある仕事」をこれから嘱望する未完成「人材」に与えるのです。
採用すべき「将来の人材」は、頭がいいとか・・・、若いとか・・・、力持ちとかではないのです!
「挑戦欲」と「バイタリティ」のある人間、そして「前向きな向上心」を持った「礼儀正しい」
人間を優先しましょう!
バンバン「価値ある仕事」を与え、少しでもやり遂げたり、成功したらドンドン「賞賛(誉める)」をしましょう!(^o^)/
とにもかくにも・・・「生産性向上」ありきです!
これこそ「燃費向上」と同様なのです!
その時々を見計らって『Mixture Control(ガソリン混合比調整)』をして下さい!
ありがとうございました。
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