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新人ビジネス・リーダーいろは講;第20話:『根回し』
『根回し』ということについてお話させていただきます。
英語ではネゴシェーションといいます。
恥かしながら、私の実際の失敗談をチョッとお話させていただきます。
かつて、私がスーパーマーケットの店長をやっていた頃のお話です。
私は、まだ脆弱な10店にも満たない店舗数だったそのスーパーマーケットで「店長会」
というのを創ろうと考えました。
経営会議以外に少なくとも月一回は、店長だけが集って日頃の苦労をより軽減するためや、
抱えている問題を皆で共有し合って知恵を出し合い解決するために集ろうじゃぁないかと
いう趣旨で賛同を募ろうと考えました。
忙しい店長に負担を掛けることも良くないので、自分で店長会の運営の方法や組織構成を
考え、そして店長会趣意書・規約・誓約書の素案を作くりました。
自信満々で親しい店長数名の元へ会いに出掛けました。
そして、彼らからは絶賛に近い賛同を得ることができました。
もちろん、彼らは発起人になることも承諾してくれました。
完璧なスタートになることを確信しました。
ところがどっこい(^^;・・・見事にスタートでつまずいてしまいました。
私個人としては親しくない、他の手本となる実績を上げている店長が真っ向から反対をし
たのです。
色々と「店長会」のメリットを力説し、協力を要請するんですが
「このクソ忙しいのにそんなことやっている暇などないよ!」
の一点張りです(^^;
おまけに発起人の中で実績に不安のある者が、その彼から名指しで非難されました。
そばで見ていても「そこまで言わなくても・・・」と思うほど辛辣だったので、ついに
非難された者と彼との間で取っ組み合いのケンカになってしまいました。
自慢話をしますが、私は社長からしっかり許可ももらい会社から補助金も出る規定まで
作って同好会制度を発足させました。
その第一号に空手部を創設し認可を受けました。
一応、空手の有段者でしたので(今では20級くらい?)、創設時の部長をやっておりま
した。
そのことを知っていた二人は、私が大声を張り上げて仲裁に入り、一声掛けただけでケン
カはすぐに止みました。
しかし不幸にも、二人の間に溝をつくってしまったのです(^^;
原因は、私の『根回し』が足りなかったことです。
せっかく良かれと思って、店長皆んなの深いキズナのできることを目的にしたのに逆の
効果を生んでしまいました。
ただ仲が良いだけでなく、会社において実績を確かに上げている人にも相談すべきだった
のです。
当時は、若気の至りでついつい突っ走っていたのですね・・・。
実績のある人は、それなりに自信もありプライドもあります。
自分の経験や知恵を活かしてもらいたいとも考えています。その上、確かに実績のある
人はポイント処が違うのです。
社会の集団生活というのは、「正しい」だけの正論では動かないことがあります。
今の政治の複雑さを見てもそれを感じられると思います。非常に重要なことです。
一所懸命やっているんだけれど、どこかうまくいかないというのはほとんどの場合、『根
回し』がヘタなんです。
いざというときに協力者が少なく弧軍奮闘する。
「なんでこんなことが理解できないんだろう?正しいことなのに?!」
と不貞腐れる人がいますが、やっぱり『根回し』ができていないから助っ人が少なく面倒
なことになるのです。
世の中には「キーマン」というのが存在します。
「鍵になる人」です。
『根回し』というのは、「キーマン」に承諾を得ない限り成立はしないのです。
しかし、とかく「キーマン」というのは、煙ったい人が多いのです。
「店長会」は、その後数ケ月して、その反対店長の絶大な協力のお陰でめでたく発足しま
した。
今でも確固たる重要な組織として存続しているそうです。
初代の店長会会長は私でした。
副会長が、その時に断固反対した店長でした。
取っ組み合いのケンカ事件の後、副会長になった店長は話せば分る優秀な店長ですから、
私は色々なことを彼に相談しました。
徐々に「店長会」の意義についても理解してもらうようになり、ついにはケンカした相手
の店長とも仲直りし、今度は発起人の中核になってもらいました。
『大をなすに根を回すことをしなければ実も成らず』です。
このことわざにもう一つ付け加えるなら、キーマン(鍵となる人)の絶対的協力を得る
ことが必要不可欠であることを忘れてはなりません。それが根回しなのだということです。
ありがとうございました。
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